「スウェーデン 福祉大国の深層」は北欧の雄の影を活写!

皆様は

「スウェーデン」

と聞くと、何を連想なさるでしょうか?

「寒い」

「ボルボ」(自動車メーカー)

「ABBA」(ポップグループ)

「ノーベル賞」・・・。

スウェーデンは、学校で習う通り北欧(ヨーロッパ北部)に位置する国です。

国土は小さく、人口もさして多くありませんが、世界でも確固たる地位を築いています。

企業についても、上記のボルボ(現在は中国企業の傘下ですが・・・)の他に、

「エリクソン」(通信機器メーカー)

「イケア」(家具メーカー)

などの世界的企業を多数有しています。

そして、税金は高いが手厚い社会福祉サービスを受けられる

「福祉国家」

としても知られています。

 

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日本人には縁遠い謎の国を、事細かに語る!

しかし、我々日本人は正直スウェーデンについて、詳しいことをほとんど知りません。

そんな

「謎の国」

の現状を詳細に記した書籍が、

「スウェーデン 福祉大国の深層 金持ち支配の影と真実」
(近藤浩一 著:水曜社)

です。


2021年(令和3年)2月に発行されるや否や、ベストセラーとなりました。

著者は日本の大学を卒業後、一旦は警察官として勤務。

その後、海外留学などを経て、エリクソン社へ就職。

2012年よりスウェーデン在住という経歴の持ち主です。

本書ではスウェーデンの「影」の部分が、事細かに語られています。

我々日本人が抱いているイメージとは大きくかけ離れた、スウェーデン社会の真の姿に、驚きを禁じ得ません。

 

目次を見るだけでビックリ!

本書は第1章〜第9章の構成です。

各章の主なテーマを個人的にまとめると、第1章から順に

「仕事の効率、やり方」

「暮らしと国民性」

「医療・福祉サービスのレベルの低さ」

「低下する一方の教育水準」

「銀行、グローバル企業の巨大な影響力」

「環境大国の裏の顔」

「平和の国の軍事産業」

「移民・難民、メディア」

「スウェーデンを支配する一族」

となっています。

目次を見て行くだけで、

「えっ、どういうこと?」

と軽くショックを受けます。

いずれの内容も、我々の先入観・思い込みを吹き飛ばしてしまうものばかり。

本文を読まずにはいられなくなります。

著者からすれば、

「つかみはオッケー!」

といったところでしょうか・・・。

 

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ビジネス・住宅事情が結構キツい!

第1章では、日本とスウェーデン(及びヨーロッパ諸国)でのビジネスにおける

「効率」

の違いが説明されています。

「国によって『効率』の物差しが違うのか!」

と驚きました。

そして、スウェーデンのイメージには似つかわしくない

人員解雇(すなわち『リストラ』)

が、恒常的に行われていることにも驚きました。

第2章では、スウェーデンの住宅事情の貧弱さ(住宅数、特に賃貸住宅数の不足)と、それに伴い住宅ローンを利用する人が大多数であると述べられています。

大手銀行は、住宅ローンから巨額の利益を上げているそうです。

何となく、外国のこととは思えないのですが・・・。

 

医療・福祉、教育のレベルが低下の一途!格差も拡大!

第3章では、日本では到底考えられないような、スウェーデンの医療・福祉の現実が多数の実例と共に紹介されます。

制度面でも医師のレベルにおいても、「ノーベル医学・生理学賞」の国とは思えない事故・事件が続出しています。

最先端医療と一般医療の「格差」についても考えさせられます。

第4章では、「教育水準の高い国」というイメージも打ち砕かれます。

本書でも言及されていますが、北欧の教育システムで有名なのは

「フィンランド」

です。

残念ながら、スウェーデンの教育レベルは低下の一途を辿っており、多くの統計がそれを物語っています。

私はスウェーデン人と聞くと、

「数ヶ国語を操るインテリ」

というイメージを勝手に抱いていましたが、この章の内容にはショックを受けました。

第5章では、キャッシュレス化先進国スウェーデンの現状、小国ながらグローバル企業が多数育った理由などが語られています。

そして、スウェーデンではごく一握りの富裕層が

「国の富の約4分の1を保有」

している事実も紹介されています。

社会主義的なイメージとは正反対の

「富の不平等」

の激しさも、日本人には初耳レベルです。

 

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『環境大国』は見せかけ?実は軍事産業大国?

第6章では、

「環境保護意識が高い」

はずのスウェーデンの実態が綴られています。

環境保護のスローガンの裏では、まだまだ原発や火力発電を多用しています。

また、世界的有名人となった若き環境保護活動家

グレタ・トゥーンベリさん

のイメージを環境ビジネスに利用している、立ち回りの上手さも指摘しています。

第7章では、平和外交という表の顔と、

「軍事産業大国」

である裏の顔のギャップに、恐怖すら覚えます。

一見軍事とは無関係のハイテク・IT企業も、関連企業を通じて

「軍産複合体」

に一部となっている状況が語られています。

 

移民・難民問題、報道の自由も深刻さが・・・。

第8章では、

「移民・難民に寛容な国」

「自由な報道ができる国」

というスウェーデンへの印象も、覆されてしまいます。

現在の日本も他人事ではなく、決して無関心ではいられません。

 

最後に・・・。

最後の第9章では、ごく少数の大富豪一族による、社会支配の構図が語られています。

その中でもずば抜けた富豪の

ヴァレンベリ一族

の財力・権力や、世界各国の王族・支配階級とのネットワークなどが、詳細に説明されています。

ここまで色々書いてきましたが、

「百聞は一読に如かず」

です。

是非お読みいただきたいと思います。

著者の近藤浩一さんは、本職のジャーナリストではありません。

しかし本書を読んだだけで、一流のジャーナリストの素質十分であることが分かります。

今後また本を出版なさったら、必ず読みたいと思います。

こういう人が現在の日本政治・日本経済を語ってくれると、一味も二味も違った切り口になりそうですが・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

興味がございましたら、こちらもお読みください。

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