このブログでは、
「債権回収」
に関する記事を多数書いています。
私が債権回収、すなわち
「借金取り」
の仕事をしていた当時の出来事などを綴っています。
昔は、無関係の『第三者』が債務者について来た!
今まで、様々な債務者や連帯保証人などと面談してきました。
昔は現在と違い、債務とは無関係の
「第三者」
が、債務者などに同席することが時々ありました。
借金返済の交渉に行くのは、誰でも怖いものです。担当者から怒鳴り付けられたり、理詰めで責められたらどうしようとか、色々不安になるはずです。一方、お金を借りる、すなわち融資の相談に行く際も、同じく不安・恐怖心がのしかかるでしょう[…]
2022年(令和4年)現在、どこの金融関連企業・団体も、正式な委任を受けた弁護士など以外は、面談への同席を認めていません。
いわゆる
「反社」(=ヤクザ)
インチキ経営コンサルタント
などの関与を防ぐためです。
2000年代初頭辺りまでは、債務者たちの親族でも何でもない
「赤の他人」
が、面談場所についてくることがあったのです。
債務者そっちのけで熱弁、こっちも反撃!
「○○さん(債務者)から相談を受けている。」
「内容がよく分からないので、一緒に話を聞いてくれと言われた。」
など理由をつけ、面談ブースに座っています。
いざ話が始まると、債務者そっちのけで第三者がまくし立てることも多々ありました。
私が話を途中で遮り、債務者に
「○○さんご自身は、どうお考えですか?」
と聞いても、本人は
「どうしたらいいでしょうか・・・。」
と、第三者に丸投げしている感じです。
あまりにもしゃしゃり出てくる相手には、
「それだったら、お宅が債務引受(=新たに連帯保証人になるような法律行為)して、返済してくれるんですか?」
と切り返したことも度々ありました。
現在は、そういう切り返しも適切とは言えませんが・・・。
延滞している債務者を呼び出したところ・・・。
今から20年近く前です。
返済が滞っている、ある債務者を呼び出しました。
面談日前日に、その債務者から電話がありました。
「知り合いで、お金の問題に詳しい人について来てもらいます。」
とのこと。
過去の担当者の面談記録には、第三者の同席の記載はありませんでした。
私は、嫌な予感を覚えました。
面談当日、債務者がやって来ました。
受付の人から
「三名様でお見えです。」
と言われ、
「同席は一人じゃないのか?」
と思いました・・・。
二人ともパンチの効いた風貌。そして・・・。
面談ブースに行くと、債務者の他に男性二人が座っていました。
一人は60歳代くらいで、薄い紫色のサングラスをかけていました。
もう一人は30〜40歳代で、かなりの高身長。
スーツを着て、任侠もののVシネマ(古い・・・)に出て来そうな風貌でした。
二人とも、なかなかパンチの効いたルックスです。
サングラスの男が自己紹介し、名刺を差し出しました。
普通の名刺は、大体ちょっと厚めの白い紙です。
印刷の都合で、光沢があるものも見かけます。
しかし、その男の名刺は、普通ではありませんでした・・・。
エセ右翼に直球質問、子分はブースから追い出した!
和紙を漉いたような材質で、表面に薄い模様らしきものが浮かんでいます。
そして、男の肩書きは
「自民党△□会 〜」・・・。
明らかに
「エセ右翼」
です。
私は
「この団体は、自民党の関連団体ですか?」
と、ド直球の質問をぶつけました。
男はちょっと困惑した感じで、
「そうじゃないけど、自主的に自民党を応援してる団体やね・・・。」
と返してきました。
隣の長身の男に
「お宅はどういう立場の方ですか?」
と聞くと、
「運転手です。」
とのこと。
「それなら、本件のお話とは無関係ですね。ご同席いただくことはできませんので、あちらのソファーでお待ちください。」
その時、私にはなぜか恐怖心が全くなく、長身のいかつい男に退席を求めていました・・・。
幸いにも男は、
「分かりました。」
と素直にブースを出て行きました。
不動産絡みの思惑あり?面談は無事終了・・・。
それからの交渉では、予想通りサングラスの男がメインで話し始めました。
私は時々
「○○さんはどういうお考えですか?」
と、わざと債務者本人に話を振っていきました。
債務者の説明によると、収入が減少気味で返済が厳しくなったとのこと。
自宅は持ち家だったのですが、築年数がかなり古く、資産価値としては正直二束三文でした。
おまけに、街金などから抵当権を打たれています。
不動産仮差押しても費用倒れになるので、歴代担当者も措置を見送ってきた経緯があります。
しかしサングラスの男は、とかく不動産のことを気にしている様子。
何か魂胆がありそうでしたが、深くは聞けませんでした。
最終的には、少額ながら返済再開を約束させて、債務承認・弁済誓約書を書かせました。
そして、今後の交渉では第三者の同席は認めない旨念を押し、面談は終了しました。
最後に・・・。
それ以降も、何人かの「エセ右翼」と顔を合わせたことはありました。
しかし、「和紙の名刺」を受け取ったことは一度もありませんでした。
インパクトの強い名刺で、相手を威嚇しようという意図だったのでしょうか?
私にとっては
「話のネタになる、おもしろ名刺」
としか思えなかったのですが・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。