町の本屋やスポーツ用品店は、なぜつぶれないのか?

時事ネタ(夫)

1990年代初めのバブル経済崩壊以降、日本の小売業を取り巻く環境は激変しました。2000年(平成12年)6月より、それまでの「大規模小売店舗法」(通称:大店法)に代わって、「大規模小売店舗立地法」(通称:大店立地法)が立法化しました。

もともとは、アメリカの大手量販店の日本進出に絡む「非障壁関税」が問題となったためです。

大店立地法で、日本の小売店舗はどうなった?

この新しい法律により、外資系企業はもちろん、日本国内の大手企業が、地方都市の幹線道路沿いなどに大型店舗の出店を加速。

地元の商店、商店街が壊滅的な打撃を受けました。「シャッター通り」なる言葉も生まれ、小さな商店は次々と廃業していきました。

駅前や郊外の店は、日本中どこにでもある全国展開チェーンの店舗で溢れ、どこの街の景色も同じようなパターンになり、没個性化しました。

本屋とスポーツ用品店が生き残っている!

大多数の業種が淘汰の波に飲まれていく中、私が個人的に注目しているのが、書店すなわち本屋と、スポーツ用品店が意外にも生き残っていることです。

政府や日銀などの統計で、明確に表示されているわけではありません。

「うちの周りでは、どっちも随分前につぶれたよ!」

というお声があるかもしれません。

しかし、私の家の近所や、訪れた街の多くで、なぜかこの二業種は結構残っています。

単なる偶然でしょうか?私が行く街は、マニアックな街ばかりなのでしょうか?

なぜ、大企業やネット通販攻撃をかわせているのか?

本屋もスポーツ用品店も、大手企業は存在し、地方へも進出しています。

駅前などの立地の良い場所に大型店舗を構え、顧客をせき止めてしまうのです。

また、Amazonを始めとするネット通販企業が新たな脅威として、日本中の小売店をなぎ倒して行こうとしています。

小売店の側でも、機動的な営業や独自のサービスで、必死に努力しています。しかし、大資本+ネット通販という巨大戦車は、そうした努力をも踏み潰す勢いです。

なぜ、本屋やスポーツ用品店には、そうした戦車の進軍をかわせている店が多いのでしょうか?

素人なりに、いくつかの理由を推測してみました。

推測(1)地元の学校(小、中、高校)に商品を納入している。

本屋には、学校の教科書・副読本やドリルなどの教材を、毎年全学年分納入している所があります。

スポーツ用品店も、全学年分のスポーツバッグ、上履き、体操服、体育館シューズや、体育・クラブ活動用のボールなど道具類を納入できれば、定期的に確実かつまとまった収入を確保できます。

生き残っている本屋やスポーツ用品店は、こうした販路をキープしているのではないでしょうか。

学校側も、地元の個人商店であれば、急ぎの注文や小ロット(小さい販売単位)の注文といった無理を言いやすいでしょう。

店と長年の付き合いがあれば、学校側から細かく指示せずとも、あうんの呼吸で動いてもらえます。

大手にとっても学校は魅力的な顧客ですが、色々手間が要る割には利益はそれほど大きくはないのかもしれません。

営業をかけて新規開拓するにも、大手は小回りが利きにくく、効率が良くない可能性もあります。

推測(2)周囲の同業者が消えてしまい、競争相手がなくなった。

不況と大手参入のダブルパンチで、小売の個人商店は年月を経るごとに減少しています。自分の所が何とか持ちこたえているうちに、周囲の同業者が廃業・倒産などで次々と閉店してしまい、気付けば地元一帯では自分しか営業していない、といった状況に至ったのではないでしょうか。

大手が次々進出してきても、大手同士で潰し合い、結局みんな撤退という場合もあります。

あるいは、大手と言えども地方では採算確保に苦戦し、これまた撤退という場合もあります。

自動車レースに例えると、先を走っていた優勝候補が続々とリタイアしてしまい、後方を走っていた車が完走して優勝してしまった、という感じでしょうか。

推測(3)経営者が地元の資産家や名士で、大手の攻勢に耐えられる。

地方では、1階が本屋で、2階より上に学習塾や習い事の教室がテナントで入っているビルを時々見かけます。

実は1階の本屋がビルのオーナーというケースが多いのではないでしょうか。

私が子供の頃、祖母が住んでいた家の近所に、小さい個人経営の本屋がありました。店内もやや狭く、正直パッとしない店でしたが、本好きの私は時々そこで本やマンガを買ってもらっていました。

私が10代後半の頃、その本屋は建物を解体し、二階建てのオシャレな建物を新築しました。1階は本屋で、前よりも店内がかなり広くなり、外観がガラス張りで明るい雰囲気になりました。

そして、2階には個人の学習塾がテナントとして入居しました。

その本屋は現在も営業しており、2階には別の学習塾が入っています。

借金で建てた可能性ももちろんありますが、ある程度手持ち資金がないとできない感じの、立派な建物です。

スポーツ用品店は、地元の野球やサッカーなどの大会の事務局をボランティアで引き受け、スポンサーになっている所が結構あります。

いわゆる世話役のような感じで地元の名士になり、地元コミュニティーにしっかり食い込んでいるのです。

そうなると、草野球、サッカー、ママさんバレーに参加している人たちが、義理でその店で道具を買うようになり、大きな顧客層になります。

チームのユニフォームなども、その店に発注したりします。

お互い「持ちつ持たれつ」という関係が保たれます。

最後に・・・。

上記(1)~(3)はあくまでも個人的な推測です。そうした店が頑張って生き残っているのも、各々のお店の営業努力の賜物という部分も大きいでしょう。

そうしたお店は本屋とスポーツ用品店だけに限りません。

しかし、世の中を見回してみると、この二業種の生存率は高いように感じます。

日本の小売業再建のヒントになると言ったら、大袈裟でしょうか。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。