2022年(令和4年)3月22日(火)現在、日本のマスコミの主な話題は
「ロシアのウクライナ侵攻」
「先日起きた東北の地震の復旧状況」
「新型コロナまん延防止措置の解除」
です。
事の重大さを鑑みれば、当然です。
これらの話題に覆い隠された格好となっているのが、
「日本社会の不景気」
です。
コロナ禍3年目、閉店や倒産はまだ増加・・・。
コロナ禍が始まってもう3年目です。
日本経済に対するダメージは、我々が実感するよりも相当大きく、傷も深いはずです。
皆様の周囲でも、
今まで頑張ってきたお店が、ポツポツ閉店し始めた
普通に営業していた会社が、突然倒産した
という事例は、割と多いでしょう。
何とか持ちこたえている店舗・会社も、営業継続のため四苦八苦しているであろうことは、想像に難くありません。
この春以降も、閉店・倒産の件数は増えこそすれ減りはしないでしょう・・・。
『非正規雇用』は、雇用主にとってオイシイとこ取り!
こうした状況下で、都合良く便利使いされるのが
「非正規雇用」
の労働者です。
派遣社員、契約社員など形態は微妙に違えど、雇用・労働条件が不安定かつ不利です。
「多様な働き方」
の美名の下に、雇用主の業績の上下に伴う
「雇用の調整弁」
として、長い間扱われてきました。
コロナ禍の過去2年間、業種によっては雇い止め・契約更新なしという措置が取られてきました。
反対に、繁忙業種では大量採用がなされてきました。
必要な時だけ集め、要らなくなればサヨナラ・・・、まさしく
「使い捨て」
です。
雇う側にとっては、
「オイシイとこ取り」
の雇用形態と呼んで差し支えないでしょう。
使い捨てはいつまでも続けられない!
今後も日本社会では、非正規雇用の拡大は続くでしょう。
しかし、
「使い捨てのオイシイとこ取り」
がいつまでも続くかは、個人的には大いに疑問です。
次に挙げる二つの点が、日本企業の成長や競争力を妨げると考えているからです。
さらなる非正規増加で、国の経済成長は・・・。
まず一つ目は
「日本にこれ以上非正規労働者が増えたら、国としての成長が止まる。」
という点です。
非正規雇用の労働者の割合は、現時点で40%近くに達しています。
大雑把に言えば、日本の労働人口の
5人中2人が非正規雇用
となっています。
今後も割合が上昇し、
「2人に1人は非正規雇用」
などという事態になったら、日本国内での物・サービスの売上は確実に減少するでしょう。
内需縮小→雇用悪化→内需縮小のスパイラルに!
そうなると、より多くの人が食料品・衣料品、光熱費など不可欠な
「生活必需品・サービス」
以外にはほとんど出費しない(またはできない)ようになります。
売上の減少は当然です。
企業によっては、日本国内での売上よりも、国外での売上の割合がはるかに多い会社もあるでしょう。
しかし全体から見れば、やはり国内消費のパイの大きさが縮小するのは、大きなマイナスと言うしかないでしょう。
そうなって行くと、さらに雇用・労働環境が悪化します。
そして内需が一層冷え込むという、
「負のスパイラル」
にはまって行きます。
企業の中に、知識などが蓄積しない・・・。
続いて二つ目は、
「日本企業の内部に、知識・経験やノウハウが蓄積しにくくなる。」
という点です。
企業の強みは、最新技術や特許・著作権などに留まりません。
従業員たちが過去から現在に到るまで積み上げてきた、
日々の業務に関する様々な知識
トラブル処理などの経験
効率改善やミスのリカバリーについてのノウハウ
・・・、これらも各企業独自の立派な
「無形資産」
です。
中にはマニュアル化できるものも多いでしょうが、文書・データ化できない類のものも多数あります。
会社の都合で雇い止めなどを繰り返していると、非正規雇用の従業員が身につけた蓄積は、会社には残らなくなります。
1からの教育・指導を繰り返す非効率!
「非正規労働者の仕事は、誰でもできるマニュアル的な業務が多い。」
などと言われがちです。
しかし実際は、意外とそうでもありません。
正社員とほぼ同じ業務をこなしている人は、結構多いです。
また、製造・販売などの最前線で働き、会社の実情を肌で感じる人も多いのです。
正社員顔負けの知識・技能を持っていることがよくあります。
そうした人々が、若手正社員を指導する(あるいはさせられる)姿も、多くの職場で見られます。
しかし解雇してしまえば、今までの蓄積は職場に還元されず、白紙に戻ります。
新しい非正規労働者を雇って、また1から教育・指導を行う再スタートとなります・・・。
『焼き畑農業』的な環境では、人材が育たない・・・。
私がいた職場でも、そうした現象は顕著になっていました。
たとえば法務部門や経理部門で長年勤めていた人は、雇い止めになってもそこでの経験・知識を武器に、他の所へ転職可能です。
会社は、その人に給料(高くはありませんが)を払い、ある意味職業訓練をしてあげただけとなります。
反対に、職場では新しい人を雇い、また最初から育てて行く
「焼き畑農業」
的なサイクルを繰り返さざるを得ません。
結局、正社員たちの数も少なくなり、中途半端な
「ゼネラリストもどき」
が増えました。
一方、以前は割といた
「スペシャリスト」
的な人材は、減少の一途を辿って行きました・・・。
最後に・・・。
もうそろそろ一部の専門家だけでなく、大物経済人の中にも、こうした弊害を指摘する人が多くなって然るべきです。
しかし残念ながら、今のところそういう人物は見当たりません。
「人件費 = コスト = 削減すべき対象」
という考えが根強く残る組織に、成長の余地が残されているとは思えないのですが・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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