いつの間にか日本が「階級社会」に!?

時事ネタ(夫)

先日、

「7つの階級 英国階級調査報告」
(マイク・サヴィジ著、東洋経済新報社)

という本を読みました。

著者はイギリスの社会学者です。英国放送協会(BBC)が2011年に実施した「英国階級調査」の設問作成、調査結果の分析などを担当した社会学者グループの一人です。

Web上で実施されたアンケート調査のテーマは、

ズバリ「階級」です。

ヨーロッパ社会に残る階級意識の名残

イギリスには、今でも貴族制度が残っています。

もちろん、昔のような社会的特権は残っておらず、一般の国民と同じ権利・義務を有します。

我々日本人も知っている「Sir(サー)」の称号は、与えられた人一代限りです。

一方、公爵など他の称号については、親から子(一般的には長男)へと代々受け継がれていきます。

イギリス以外の国では貴族制度は廃止されましたが、上流階級(富裕層)には元貴族の家系の人間が多く、ヨーロッパ社会では表面上の平等とは裏腹に、心理的な階級意識は根強く残っていると言われています。

英国階級調査の結果とは?

英国階級調査の結果を、上記の社会学者グループが約2年かけて分析した結果、ある社会学的モデルを構築するに至りました。

「イギリス社会には、新しい7つの階級が存在する。」

という仮説です。

ここでは詳細の説明は省きますが、明確になったことの一つは、

「最上位の階級は、教育、就職、収入、資産などあらゆる面でダントツのトップに位置する。」

ということです。

イギリスでもアメリカと同様に、勝者総取り(Winner takes all.)的な状況が広まり、富める者はより豊かになり、貧しい者はより貧しくなるという社会になっています。

ヨーロッパ以外にも存在する階級社会

ヨーロッパ以外では、例えばインドです。10億人を超える人口を抱え、近年の経済発展で活気に溢れる国ですが、「カースト」という身分制度に今も縛られている、ある種の「階級社会」です。

南米の大国ブラジルも、「階級社会」に当てはまります。

1989年の統計では、ブラジルの全ての富(預金、有価証券、不動産など)の約51%(半分ちょっと)を、全人口のわずか1%(!!)が所有しているという、驚愕の結果が出ていました。

学生時代に読んだ本にこの結果が掲載されており、ビックリした記憶があります。

ブラジルでは黒人だけが貧しいという図式ではなく、白人も大部分が貧しいのです。一握りの超富裕層が支配階級のような存在であり、中流階級もほとんどいません。

日本は、平等な国ですか?

ここまで色々な国での「階級」について書いてきましたが、日本人はよく、

「日本は階級社会じゃない。」

「イギリスなどと違い、日本は平等だ。」

「日本では、貧しくても頑張れば豊かになれる。」

という内容の言葉を口にします。

しかし、それは正しい認識なのでしょうか。

歴史を振り返っても、社会階級は温存されてきた。

2020年現在の日本には、徳川時代のような「士農工商」制度はもう存在していません。明治維新により、武士制度は消滅。表面上は、国民が平等な世の中になったはずでした。

しかし、明治維新の勝利者となった藩、いわゆる「薩長土肥」の元武士たちが、政官界、陸海軍の要職を押さえ、新たな支配階級になりました。

明治新政府の大物は、元公家と共に華族となって爵位をもらい、貴族のように振るまいました。

産業・軍事・行政が三位一体となり、財閥、門閥(薩摩閥、長州閥など)、閨閥(親戚、縁戚関係)によって、権力及び利益を内輪で回し合いました。

第二次世界大戦で日本が敗戦した後、財閥解散や農地解放などが行われましたが、不完全だったため、財閥・門閥・閨閥による経済力、そして権力との繋がりは保たれたままとなりました。

一方、元戦犯や公職を追放されていた人間たちが中心となり、「自由民主党」を結党。この自民党により、上流階級・富裕層や彼らが支配する財界の利益は守られ続けてきました。自民党も莫大な資金援助を受け、二度の下野を除き長期にわたり政界を支配してきました。

令和の世になり、階級はさらに固定化へ!

今年2020年(令和2年)7月現在、コロナ禍はもう第2波が東京などに押し寄せて来ています。しかし、国及び地方自治体は、経済の立て直し、具体的に言えば大企業がコロナ禍で被った損失を、いかに取り戻させるかで頭が一杯のように見えてしまいます。

国の舵取りを担うべき政治家(国会議員など)は、最近では二世どころか三世、四世議員が現れ始めています。まるで、歌舞伎の世界の世襲制と同じです。

地盤(地元後援者の支持)、カンバン(有権者への知名度)、かばん(選挙資金)の三つを、何一つ苦労せず、周囲がお膳立てしてくれます。かなりの高確率で当選できます。

一方、家柄もコネも金もない人間は、スポーツや芸術など特殊な才能がなければ、懸命に勉強して名門大学に入学するしかありません。卒業後は大企業に入社したり、中央官庁に勤めたり、医師や弁護士など高級専門職の道に進むくらいしか、自分の社会的階級を上昇させることはできません。

しかし受験の世界でも、家柄やコネ、金がかなり物を言います。

政治家や財界人の子供や孫が、有名私大の附属学校に、小学校から通っている事実はかなり知られています。小学校でも、年間の学費が約200万円(!)かかる所が結構あります。

いわゆる「お受験」競争に勝つには、先立つものが必要です。

また、東大や医学部などに多数の合格者を輩出する、私立の有名進学校に子供を合格させるには、有名な進学塾に毎月高額な月謝を払い、通わせなければいけません。

東京大学の学生の親の平均年収は、約2,000万円との調査結果も出ています。

今の日本では、学歴もある意味お金をかけて買うもの、と言わざるを得ないのです(中には、近年マスコミを騒がせた某医科大学のように、本当にお金で学歴を買えてしまう学校もあります…)。

階級を上昇できない人たちはどうする?

上記のように上の階級に上がれない人たち(私も当然その一人です)は、どうすればいいのでしょうか?

もちろん、日々の生活(仕事、家事、勉強、遊びなど)を頑張り、充実したものにするのが第一です。

それに加えて、政治や経済が自分たちの生活にどんな影響を与えているかを、自分なりに考えていくことが必要です。

どこかの政党や団体に加入するとか、様々な集会に参加することも立派なことですが、そこまでしなくても大丈夫です。

テレビやラジオ、新聞、そしてインターネットのニュースなどを見たら(何時間も視聴したり読んだりは不要です)、他人事と軽く考えず、

「この出来事は、自分や家族、周囲の人々にどんな影響を与えるのか?」

「この決定は、自分たちに本当にプラスになるのか?」

などと、自分の生活に関連させて考える習慣を付ければ、世の中に溢れる情報を鵜呑みにして思考停止することがなくなります。

また、投票できる選挙には全て行き、投票することです。

「自分が投票したって、どうせ世の中なんて変わらない。」

と冷笑的な考えになれば、実はそれは政治家・官僚や財界の思う壷なのです。

選挙の投票率が低ければ低いほど、特定政党や利益団体による「組織票」が有利になります。

そういう連中からすれば、我々「平民」は、政治や経済などに興味を持たず、平日はあくせく長時間働き、休日はレジャーなどに興じ、選挙は面倒くさいから行かないと考えてくれる方がありがたいのです。

最後に・・・。

数年前、フランスの経済学者トマ・ピケティの「21世紀の資本」という本がベストセラーになりました。その中で、何世代もの間に富は豊かな者の所に集中し続け、相続により特定の家系に引き継がれ富の総額も急速に膨らんでいるということが指摘されていました。

それと同じ現象が、日本でも確実に起こっています。

しかし、2020年の今でも、日本人の多くは

「自分は中流。」

と漠然と考えています。

しかし、大学生の2人に1人が奨学金を利用し、給食費の減免を受ける小・中学生は増加の一途。

日本の労働人口の3割以上は非正規労働者。年金だけでは生活できず、80歳を過ぎてもパートで働く高齢者。

こんな状況で、「中流」がそんなに多いわけがないのですが・・・。

自分を客観視できず、「多数」の側、「強者」の側にいたいという心理が強く働いているのでしょうか。

しかし、我々日本人は、確実に階級分けされ続けています。

以上、「下流」のオッサンの独り言でした・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。