ここ数年、日本全国で表面化している問題の一つが
「空き家問題」
です。
様々な理由で住む人がいなくなり、手入れもされず放置されたままの一戸建てやアパート・マンションなどが、急激に増加しています。
ある統計によると、日本の住居用建造物のおよそ二割は空き家だそうです。
行政などが所有者を調べても、相続放棄がなされていたり、相続対象者が多過ぎて相続人を特定できなかったりと
「所有者なし」
「所有者不明」
の物件が結構多いのです。
住人がおらず、手入れもないと一気に老朽化。廃墟へ一直線!
家という物は、人が住まないと老朽化が一気に進行するそうです。
屋根や外壁などの補修、庭の手入れなども定期的になされないと、どんどん朽ち果てていき、
「廃墟」
のような状態になります。
屋根や外壁などが崩落すると、通行人にとって非常に危険です。
また、ゴミなどの不法投棄場と化してしまったり、若者たちの肝試しの場所になったりもします。
近隣住民にとっても、頭痛の種です。
ある地域で、たまたま見つけた一軒の廃屋・・・。
大阪市北区の某所に、ある廃屋が存在するのを知ったのは、三年ほど前でした。
賑やかな繁華街から一つ筋を越えた辺りは、商店と一般用の住居用家屋が混在する地域でした。
人通りは割と多いのですが、静かな雰囲気で、特におかしな感じもない界隈です。
その中に一軒、築半世紀は楽に経っていそうな、年季の入った建物がありました。
門や庭はなく、いきなり玄関ドアがある造りで、二階建てです。
ドアと言っても安っぽい木製で、表面が所々剥がれていました。
玄関脇に自転車が一台停まっていましたが、長い間人が乗った形跡もなく、全体に錆が浮き出ていました。
表札もなく、家の中から明かりや物音もせず、人が住んでいる気配を感じませんでした。
二階の一部には大きな裂け目が!全体をよく見てみると・・・。
ふと上を見上げて、無人の空き家であると確信しました。
二階の一部から屋根の辺りまで壁が裂け、内部が見える状態でした・・・。
内部にも、家具などが置いてある様子はありません。
典型的な空き家です。
ただ、視線を横にずらすと、奇妙な感じを覚えました。
建物が妙に横に長いのです。
長屋みたいに隣家とくっついているのかと思い、歩を進めて近付きました。
すると、建物の端にもう一つドアがありました。
高級感のあるドア、そして監視カメラ・・・。一体中では何が?
最初に見たドアとは違い、同じ木製でもかなり高級感のあるドアでした。
そして、ドアの上方には監視カメラが付いていました(作動していたかは不明・・・)。
ドアの横には看板が掲げられており、
「会員制ラウンジ ○×△」
と書かれていました・・・。
「えっ?ここが会員制ラウンジ?」
私は驚いてしまいました。
一つの建物の約三分の二は、ほぼ廃墟と化しているのに、残り三分の一で会員制ラウンジを営業?
「ここは何なんだ・・・?もしかして、秘密の麻薬パーティーか何かを行う所で、わざとこんな怪しい建物でカムフラージュしているのか?」
と、半ば妄想のような考えを巡らせました。
ネットで検索するも、詳細は全く分からず・・・。
近くの電柱の表示でおおよその位置を確認し、後日インターネットで色々調べてみました。
しかし、件の廃墟化した建物に関する情報(掲示板の書き込みなど)は、全く見つかりませんでした。
会員制ラウンジについても同様でした。
土地の地番を調べた上で、法務局で不動産謄本でも申請すれば、何か分かったかもしれません。
しかし、そこまでやる気も時間もなかったので、それ以上は調べませんでした。
二年ほどして、再度その場所を訪れると・・・。
昨年2020年(令和2年)の冬、およそ二年ぶりに再びその辺りを訪れた私は、
「あの建物はどうなってるかな?」
と思い、見に行ってみました。
しかし、あの建物はすっかり消え失せていました。
更地となり、車五台分くらいのコインパーキングに変わっていました・・・。
新しく建物を建てようとしても、建ぺい率の制限などを考慮すると、かなり小さい建物しか造れそうにありません。
当面はコインパーキングのままでしょう。
最後に・・・。
それにしても、あの不思議な会員制ラウンジの中はどうなっていたのでしょうか?
実際は、よくある場末のスナックのように、60~70歳代のオッサン客数人(常連ばかりだから会員制みたいなもの?)に対し、年季の入ったママ一人が相手をするといった感じだったのでしょうか。
それとも、私のような平民には想像もつかない世界が広がっていたのでしょうか・・・?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。