借金をすると、当然返済しなければなりません。
しかし、親戚・友人などからではなく、金融機関や貸金業者から借りた場合、元金に加えて約定利率(契約で定められた利率)の利息も返済が必要となります。
また、返済が途中で滞った場合、利息よりもはるかに高率の遅延損害金が発生することもあります。
返済の最初は、ほぼ利息に充当され、元金がなかなか減らない!
例外はありますが、大多数の金融機関、貸金業者は返済金を利息・損害金から先に充当します。
元金がなかなか減らない仕組みになっており、住宅ローンや消費者金融の利用者からは、
「最初のうちは、利息ばっかり払っているようなものだ。」
という愚痴が聞こえてきます。
借金の返済には通常は期限が設けられており、例えば3~5年、住宅ローンなら最長35年というように、期限内に完済することが求められます。
返済期間が長ければ長いほど、支払う利息の金額も当然大きくなります。
期限通りに返済できないとどうなる?
お金に余裕がある場合は、繰り上げ返済などで予定より早く完済できる場合が、たまにあります。
反対に返済が滞り、予定通りに返済できなくなる場合もあります(こちらのケースの方が世間では圧倒的に多いです・・・)。
金融機関は、不良債権を債権回収業者に二束三文で譲渡するケースが多く、その場合は遅延損害金が累積していきます。住宅ローンも同じです。
契約通りの返済ができなければ、年1~2%の利息ではなく、年14.0%(一般的)の損害金が課せられてしまいます。
連帯保証人が返済したり、親戚が援助することも・・・。
「元金さえ返済できないのに、利息や損害金なんて払えるわけがないのでは?」
そう思う人が多いのも当然です。
しかし、主債務者が返済できなくても、連帯保証人がおり、その人には資力がある可能性もあります。
あるいは、親戚一同が支援してくれる場合もあります。
債務額(元金)が数千万円、数億円という単位ならばお手上げかもしれませんが、数百万円くらいなら、払ってくれるケースもあります。
一括完済の場合、利息・損害金の額はどうなる?
その際、特に相手方(返済する側)にとって問題となるのが、
「利息とか損害金は、どうなるんだ!?」
という点です。
利率や損害金率が一桁台でも10%超でも、結構な額が累積しているもので、元金にプラスされるとかなりの金額になってしまいます。
利息・損害金も全額返済しろと言われると、相手側は返済しようという考えそのものが失せてしまいます。
そこで、債権者側は何とか相手の返済意欲を刺激し、話に食い付かせようとするため、利息・損害金については、引き下げに応じてくれることが多いです。
一括完済の際の利息・損害金引き下げには、理由がある!
全ての所が応じてくれるわけではありませんが、引き下げ度合いの差こそあれ、かなりの債権者は一括完済の場合、利息・損害金の減免に応じてくれます。
それには、次に挙げる三つの理由があります。
不良債権を少しでも減らしたい、それもできるだけ早く。
債権管理はタダでできるわけではありません。
人件費や通信費(=郵便代)などが案件一件ごとにかかっています。
また、いつまでも完済しなければ不良債権も減少せず、金融機関にとっては重荷でしかありません。
既にある程度の額を回収しており、引き下げしても損をしない。
前述しましたように、銀行や貸金業者は利息を先取充当しており、延滞が発生するまでにかなりの金額を受け取っていることが多いのです。
また、債権回収業者(サービサー)は債権を格安で手に入れているので、利息・損害金部分を大幅に負けてやっても、完済になれば充分な利益になります。
特にサービサーは、なるべく早く効率的に回収するのが鉄則で、完済になる確率が高ければ、かなり乗り気になってきます。
債権者にもノルマがある!
債権者の側でも、できるだけ完済案件を増やして回収金額を稼がないと、各組織の年間、月間などの回収目標に達しないのです。
回収担当者も所詮は勤め人です。個人目標もあり、必死なのです。
完済になる場合、それなりのまとまった金額を回収できるので、担当者(私もそうでした)には、ありがたいチャンスとなります。
特に、月末、各四半期末、年末、年度末といった区切りの時期には、そうした話を待ち望んでいます。
これらの理由を返済する側が分かっていれば、うまく利用して債権者と交渉し、できるだけ利息・損害金を引き下げてもらうことが可能になります。
損害金率はどれくらいまで引き下げ可能か?
遅延損害金率は、一般的には年14.0%です。
年14.0%というと、そんなに膨らまないのでは?とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、結構大きな額にまで累積します。
ただ、厳しめの所でも、損害金率年1%以上を回収できる金額が相手方から提示されれば、承諾してくれる可能性は大きいと思います。
債権者側から一括完済金額を提示する場合でも、やはり1%というラインが下限になってくるでしょう。
最後に・・・。
もちろん、全ての債務者が親族を当てにできるわけもなく、連帯保証人も自分の生活で精一杯、完済など無理という人は多いです。
ただ、まとまった金額(元金+α)を工面できる可能性があるなら、債権者を相手に上手に立ち回り、できるだけ大幅に利息・損害金を引き下げさせて、債務を清算するようにして欲しいところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。