2021年度、すなわち令和3年度が始まって、2ヶ月が経過しました。
新しく社会人となられた方々にとっては、あっと言う間に過ぎた慌ただしい2ヶ月かと思います。
例年と違い、新型コロナウイルスに日本中が振り回される中での社会人デビューだっただけに、尚更
「バタバタ感」
が強かったかもしれません。
何をするにも、上司や先輩に質問しまくる日々・・・。
配属先の部署では、最初は右も左も分からず、何とも言えない心細さを感じるのは、誰しも同じです。
私自身も、30年近く前の新人時代は、そうした不安を抱いていました。
毎日の仕事のあらゆる面で、上司や先輩に質問を繰り返し、一つ一つ覚えていくのがお決まりのプロセスです。
6月と言えば、日本中の組織でそうした光景がまだまだ頻繁に見られるはずです。
新人が必ず言われるのがこの言葉!
そんな中、ほとんど全ての方が新人・若手時代に聞かされたであろう言葉が、
「ある事を1回質問したら、同じ事を2回聞くな。」
といった内容です。
一度質問した事はメモやノートに書いて残し、次に同様の事に出くわしたらメモ・ノートを読み返すようにする、という意味です。
また、一度聞いた事は忘れないくらいの集中力を持って仕事をしろという意味合いも持ちます。
しかし、私はこの言葉が大嫌いでした。
質問しながらメモ・ノートを取るのは難しい!
もちろん、教えてもらった事をノートなどに書いて読み返すのは大事で、本来は常にそうするのが最善です。
しかし、日々の仕事の忙しさの中で、質問しながらあるいは質問のすぐ後にノートを取るのは、なかなか難しいことです。
また、上司や先輩も忙しい中、ノートを取る間待っていてもらうのにも気を遣います。
近年は、メモ・ノートの代わりにスマートフォンの
「スクリーンショット」(いわゆる「スクショ」)
を多用する新人が多いそうですが・・・。
1回聞いてすぐ理解・記憶できる人は・・・。
また、メモやノートを取ったからといって、すぐに100%理解できるはずもありません。
初めて聞いた内容を上手にメモ・ノートに記し、読み返した時に完全に思い出せるようにするには、かなりの習練が必要です。
私は昔から心根がかなりひねくれていたので、
「同じ事は2回聞いたらダメ!」
みたいな事を言われると、心の中で
「一度聞いてすぐ覚えられるくらいなら、ここで働いてない!トヨタ自動車かソニーに就職してるよ!」
と悪態をついていました。
また、そうした人の多くから
「教える時間がもったいない。」
と思っている雰囲気が、こちらにもはっきり伝わってくるのです。
私は、そういう事を言う人は
「人間としての器が小さい」
とすら思っていた、ろくでもない若手でした・・・。
『何回でも聞いて。』と言う人の方が、説明が上手で覚えやすい!
一方では、反対に
「分からなかったら、何回でも聞いて。遠慮したらダメだよ。」
と言ってくれる人もいます。
ただ、そういう上司・先輩の方が教え方が上手で分かりやすく、あまり何回も手を煩わせることなく覚えられます。
何とも皮肉な現実です。
「何回も同じ事質問するな。」
というタイプの人の方が、説明が分かりにくかったり雑だったりして、一度聞いただけではよく分からない傾向がありました。
当然そうした状態では、ノートなどを真面目に取ったところで、あまり役に立ちません・・・。
社会人を長くやっていると、そうした話を新人・若手にしがち!
しかし、社会人としてのキャリアが長くなってくると、誰しもそういった類の話を新人・若手にしがちです。
もし現在、そうした話をしている方には、自らのことを客観的に分析していただきたいと思います。
「新人・若手が理解しやすいように話せているか?」
「相手がメモ・ノートを取りやすいように、気を配れているか?」
「『教えるの面倒くさいな。』といった雰囲気を出していないか?」
などと日頃の自分を振り返ってみれば、自分が
「同じ事を2回聞くな!」
と口にするに値する人間かどうか、自ずと分かるはずです。
最後に・・・。
最近の若い世代は昔と違い、学生時代も真面目に勉強してきた人が多く、我々中年世代よりもしっかりした考えを持っています。
「同じ質問を繰り返すな!」
などと上から目線で言ってくる上司・先輩に対し、
「こんな事言ってるから、この人はこの程度のレベルなんだ。次からは他の人に質問しよう。」
と、心の中で
「アカン人」(=できない人)
の烙印を押しているかもしれません。
これからの日本を背負って立つ若者たちには、親切に接する方が相手のため、そして自分のためにも最善だと思います・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
もし興味をお持ちの方は、こちらもお読みください。
有名な故事成語に「敗軍の将は兵を語らず」という言葉があります。中国の歴史書「史記」准陰候伝が出典となっています。「失敗した人間が、それについてあれこれ言い訳したり意見を言う資格はない。」という意味です[…]
21世紀、令和の世になっても、日本の企業社会は相も変わらず「男社会」です。男性、特に中年以上の人間は、若手社員を「女の子」、ベテラン社員を「おばちゃん」などと呼んでいます。そうした旧時代的な会社が、まだまだ非[…]
2021年(令和3年)が始まって早くも1ヶ月が経ちます。あと2ヶ月ほどで4月となり、日本企業には新入社員が入社して来ます。昨年からのコロナ禍の影響で、新卒採用を見送った企業もありますが、多くの企業は数こそ減らしても採用自体は[…]
2021年(令和3年)4月を迎えてもなお、世界中で新型コロナウイルスの影響は収束の兆しを見せません。ワクチンの接種が進んでいる一部の国では、社会活動が徐々に回復し始めていますが、ほとんどの国ではまだまだ新規感染者の増加に苦しんでいま[…]
「はんこ」すなわち印鑑は、日本社会を語る上で大変重要な要素です。日常生活や仕事、契約などのあらゆる分野で印鑑を押しています。印鑑の種類も、超高級品からシャチハタ印まで様々です。「実印」に至っては、役所に登録ま[…]
2020年(令和2年)の一時期、日本各地の企業(大手やIT系がほとんどでしたが・・・)で、「リモートワーク」「オンライン会議」がブームとなりました。「ZOOM」(ズーム)というIT企業の名前が、一気に[…]
「挨拶」という言葉をすぐに「あいさつ」と読める人は、結構多いのではないでしょうか。一方、反対に「あいさつ」を「挨拶」と漢字でスラスラと書ける人は、少ないはずです。この字の読み書きができるかできないかは[…]