普段の生活の中で、見知らぬ人から声をかけられる機会はどのくらいあるでしょうか?
ナンパ、飲食店の呼び込み、道を尋ねられるというのはごく普通でしょう。
ちょっと気をつけるべきなのは、化粧品や健康食品などのキャッチセールスです。
数年前には、
「名刺を100枚交換するまで、会社に戻れません。」
などと言って名刺交換を迫り、渡してしまうと後日セールス攻勢をかけてくるといった方法が社会問題になりました。
道を尋ねられる以外は、基本的には関わりを持たないのが無難です。
昔は、よく宗教の勧誘を道端で行っていた!
最近めっきり減った(と個人的に感じる)のは、宗教絡みの勧誘です。
私の学生時代(30年ほど前)は、駅前によく外国人の男性がウロウロしていて、
「あなたは神を信じますか?」
と声をかけてきました。
チラシだけもらって後で読んでみると、近所にある教会(と言ってもテナントビルの一室のことが多い)の名前や住所が書いてありました。
仏教、キリスト教、イスラム教といったメジャーな宗教で、活動実態が分かる所ならまだ良いのですが、中には胡散臭い新興宗教への勧誘も混じってくるので、注意が必要です。
私の学生時代は、統一教会とオウム真理教が世間を騒がせていた!
私が大学に入学した頃は、大学のあちこちに
「統一教会の勧誘には気をつけよう。」
といった主旨のポスターが貼られていました。
新入生オリエンテーションでも、
「サークル・同好会を隠れみのに、怪しい宗教団体への入信を勧めてくる団体・人物がいるので、注意してください。」
との説明がありました。
当時の日本では、「統一教会」と「オウム真理教」が世間を騒がせており、私もマスコミ報道を通じてある程度の知識は持っていました。
しかし、大学当局が学生に注意を促すほど、大学内でもそうした団体の活動が活発だとは思っていませんでした。
大学二年生のある日、バスを待っていた私に・・・。
そうこうしているうちに一年が過ぎ、大学二年生となったある日。
大学から帰る途中、実家の最寄り駅でバスを待っている時でした。
一人の若い男性がこちらに近寄って来ました。そして、
「すいません。あなたの血をキレイにして差し上げますので、少しお時間いいですか?」
相手の顔を見ると、真剣そのものの表情。
ふざけている様子は微塵もありません。
しかし、両の眼はどこか遠くの方を見つめているように思えました。
「これは、絶対に関わってはダメだ!」
私の心の中に、危険信号のアラームが鳴り響きました。
「いいえ、要りません。十分キレイですから。」
私はそう告げると、その若者と反対側に身体を向け完全無視を決め込みました。
すると彼は諦めたのか、その場から去って行きました。
血が汚いと決め付けられた私の立場は・・・。
それ以降、大学の近辺でも同様の言葉をかけられることが何回かありました。
おそらく同じ団体だったのでしょう。
それにしても「あなたの血をキレイにしてあげます。」とは、考えようによっては恐ろしく失礼な言葉です。
赤の他人を「血がキレイじゃない=汚い」と決め付けてくるのですから、礼儀というものを全くわきまえていません。
私の顔や見なりが
「アイツ、いかにも血が汚れてそうだ!」
という印象を与えていたのでしょうか・・・。
その後しばらくして、1995年(平成7年)に「地下鉄サリン事件」が起こりました。
それ以降、世間の新興宗教に対する風当たりが非常に厳しくなり、オウムや統一教会の活動は表面的には下火になっていきました。
私も「血をキレイにしてあげます。」と言われることはなくなりました。
21世紀に入っても、怪しい宗教団体は暗躍している!
しかし21世紀の現在でも、怪しい新興宗教(厳密には、宗教の名を借りた詐欺ビジネス団体と言うべきか)は次々と生まれては消え、生まれては消えを繰り返していきます。
また、勧誘の手法も手を変え品を変え、被害は後を絶ちません。
1980~1990年代と違い、インターネットやSNSといったITを悪用した手口が多いのも特徴です。
最後に・・・。
時代が移り変わっていく中で、私も年齢を重ね遂に50歳となりました。
40代に入ってから、血中脂肪も増えがちで、サラサラの血とは言えなくなってきています。
もし今後、街中で
「あなたの血をキレイにしてあげます!」
と真顔で言われたら、私も真顔で
「はい、お願いします!この頃は健康診断でも、高脂血症と診断されて困ってるんです!」
と言ってしまいそうな気がします・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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