「無形文化財」
について聞かれ、スラスラと答えられる方は少ないでしょう。
テレビ・ラジオや新聞などでは、時々見聞きする言葉です。
しかし説明するとなると、結構難しいものです。
そもそもどういう意味?
岩波書店 広辞苑によると、
「演劇・音楽・工芸技術その他の無形の文化的所産で、歴史上または芸術上価値の高いもの。」
と説明されています。
建造物や絵画・彫刻、古文書など、形のある
「有形文化財」
とは異なります。
一定の形はありません。
しかし、文化的な財産として残していくべきものを指します。
この「無形文化財」、英語では何と言うのでしょうか?
『文化財』は割と簡単!
まず「文化財」はどう英訳すべきでしょう。
「文化財」=「文化的(な)財産」
と言い換えられます。
すると、
「文化的(な)」=「cultural」
「財産」=「asset」
となります。
ちなみに大修館書店 ジーニアス和英辞典では、「財産」の英訳として
「treasure」(宝物、財産、貴重品)
も用いられています。
『無形』はすぐには浮かばない・・・。
さて問題は
「無形」
です。
「無形の」という意味の形容詞になりますが、なかなかパッと頭には浮かびません。
「no − shape」
などとしたいところですが、そうではありません・・・。
正解は
「intangible」[ìntˈændʒəbl(米国英語), ɪnˈtandʒɪbl(英国英語)]
です。
大修館書店 ジーニアス英和辞典では
(1)(光などのように)触れることのできない:実体のない、無形の
(2)つかみどころのない、不可解な
と説明されています。
ここでは、当然(1)の意味となります。
「無形文化財」=「intangible cultural asset[treasure]」
と英訳できます。
ちなみに、「無形(の)」と反対の
「有形(の)」は
「tangible」
となります。
「有形文化財」=「tangible cultural asset」
と表現されます。
『重要無形文化財』を保持する人とは?
上で引用した広辞苑では、最初の文章の後に
「そのうち特に重要なものを重要無形文化財として国が指定し、これを高度に体現できる者または正しく体得しかつ精通している者を、保持者として認定する。」
と続いています。
この
「重要無形文化財保持者」
として認定された人は、
「人間国宝」
と呼ばれます。
人間国宝は英語で
「living national treasure」
と表現できます。
まさしく「生ける国宝」といった感じです。
最後に・・・。
有形・無形にかかわらず、文化財の中には存続が危ぶまれるものも増えています。
無形文化財の場合、どれだけお金をかけて保護しようとしても、芸や技術を受け継ごうとしてくれる人材がいなければ、意味がありません。
「国の宝」(national treasure)
と呼ばれるレベルに達するには、途方もない努力を要するはず。
若い世代の人たちがそうした道を選んでくれると、私のようなオッサン世代は嬉しいです。
しかし、もし自分だったら、そんな厳しい世界では到底務まらないと思います・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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