日本のテレビドラマには様々なジャンルがありますが、今までに多くの作品を生み出してきたのは
「刑事ドラマ」
でしょう。
今までに数多くの名作が放映されてきました。
最近でも数こそ減ってはいますが、各テレビ局で刑事ドラマ(連続もの、単発もの)は放映され続けています。
刑事ドラマデビューは『太陽にほえろ!』だった!
私は刑事ドラマ大好き人間です。
小学校に入学する頃には、既に伝説のドラマ
「太陽にほえろ!」
が大ヒットしていました。
金曜日の午後8時は、我が家では「太陽にほえろ!」が定番でした。
まだ小学生なので、物語の細かい部分や深い内容は理解できませんでしたが、登場する刑事たちの奮闘に熱中してのめり込んでいました。
小学生時代はほとんど毎回観ていたほどです。
しばらくすると『特捜最前線』も観るように!
小学校高学年~中学生の頃には、水曜日午後10時からの
「特捜最前線」
も時々観るようになりました。
この「特捜最前線」も刑事ドラマ史上に残る傑作ドラマです。
「太陽にほえろ!」が幅広い年齢層を対象としていたのに対し、「特捜最前線」は視聴者の年齢層がかなり高かったはずです。
夜10時からの放送ということもありましたが、完全な「大人向けドラマ」でした。
小~中学生にとっては、難解だったりハードな内容の話が多かったのですが、明らかに子供向けには
「薄めていない」
ドラマでした。
『西部警察』のカースタント、銃撃シーンにビックリ!
同じテレビ朝日系で日曜午後8時から放映されていた
「西部警察」
は、ストーリーはそれほど難しくなく、小学生や中学生でも気軽に観られました。
しかし、アクションシーンの凄まじさには毎回ビックリしました。
2021年の今では考えられないような激しいカーアクションや、日本の警察ではありえない銃撃シーンが毎回繰り広げられました。
子供心に
「東京みたいな大都会では、あちこちで車が爆発したり、刑事ショットガンをぶっ放すのか・・・。」
と信じ込んでしまい、怖くなったほどでした・・・。
昔の刑事ドラマは、『濃い』作品が多かった!
1970~1980年代は、上記の作品の他にも質の高い刑事ドラマがたくさんありました。
それらに共通して備わっていた特徴は、
「濃い」
という点です。
一体、何が濃いのでしょうか?
まず第一に、
「内容が濃い」
ということです。
上記の「特徴最前線」は別格として、家族で楽しめた「太陽にほえろ!」も、大きくなって再放送を観てみると、結構ハードな「社会派」の作品が多かったことに気付きます。
単純な勧善懲悪ストーリーではなく、人間の汚く醜い部分や人生の悲哀などを描いた話も多かったのです。
私を含む子供たちも分からないなりに、大人の社会の厳しく怖い一面を垣間見て、一種の
「社会勉強」
をしていたのです。
「特捜最前線」に至っては、ある意味スパルタ教育の学校のようなものでした。
観ている小~中学生を人生という荒波の中に、ライフジャケットなしで突き落とす、ハード過ぎる物語のオンパレードでした。
そして毎回エンディングに流れる名曲
「私だけの十字架」・・・。
また、私は上記三作品ほどは観ていませんでしたが、土曜午後9時からの
「Gメン75」
も、子供や若者向けの味付けを一切しない「渋味」、「苦味」たっぷりのハードボイルド刑事ドラマでした。
出演者や脚本家も、『濃い』人たちばかり!
続いて第二の点は、出演者や脚本家などの
「作り手が濃い」
ということです。
「太陽にほえろ!」は、伝説のスーパースター石原裕次郎さんが演じる「ボス」の下、七曲署の個性豊かな刑事たちの活躍を描き、15年間続いた刑事ドラマです。
松田優作さんや勝野洋さん、山下真司さんや渡辺徹さんなど数々のスターが、この番組から生まれました。
しかし、ベテラン刑事「山さん」、「長さん」を演じる露口茂さん、下川辰平さんの両俳優が、若手に全く劣らない熱量を放っており、番組の濃さを強めていました。
脇役やゲストの俳優・女優もみな存在感ありまくりでした。
「特捜最前線」も出演者の濃さでは負けていません。
「オシャレ」という言葉が似合ったのは、二谷英明さん演じる神代課長くらいで、その他のレギュラー出演者(刑事たち)は、そうした概念を放棄しているようでした。
令和の今も健在の「THE・熱い男」藤岡弘、さんや本郷功次郎さん、誠直也さんなどの
「トレンディードラマから最も遠い男たち」
が、パワー全開の熱演を見せていました。
そして、名優大滝秀治さんも「特捜最前線」を高濃度のドラマにした、不可欠の存在でした。
この作品も、ゲスト出演者が名優・怪優揃いでした。
「西部警察」の出演者も、渡哲也さんや寺尾聡さん、舘ひろしさんなどに加え、藤岡重慶さん(「あしたのジョー」の丹下段平の声で有名)や刈谷俊介さん(趣味の考古学は玄人はだし)といった
「イカツイ系」
の役者さんたちが日曜夜のゴールデンタイムに堂々と登場していました。
脚本家についても、「太陽にほえろ!」では
市川森一さんや鎌田敏夫さん
など後のビッグネームが健筆を奮い、名作を次々と送り出していました。
「特捜最前線」では、
長坂秀佳さん(「人造人間キカイダー」や「快傑ズバット」などの特撮作品で頭角を現す。後に小説「浅草エノケン一座の嵐」で江戸川乱歩賞を獲得。)
や塙(はなわ)五郎さん、藤井邦夫さん(助監督出身。現在は時代小説家として活躍)などが名作・怪作を量産しました。
現代のドラマは、全体的に『薄過ぎる』!
平成生まれの若者たちには想像もつかないような、とにかく「濃い」刑事ドラマがテレビで普通に放映されていたのです。
21世紀の日本ではとかく
「放送コード」
「コンプライアンス(法令遵守)」
「中立性」
などが問題とされますが、あの頃の刑事ドラマは、そうした制限下だったら誕生しなかったかもしれません。
そうした「濃い」ドラマを観て育ってきた人間にとって、現代のドラマは刑事ものに限らず全体的にあまりにも
「薄過ぎる」
としか思えません。
現代の日本社会自体があまりにもハードで生きにくいので、せめてドラマくらいはハードじゃない、ソフトな作品を楽しみたいということなのでしょうか?
最後に・・・。
そんな中、刑事ドラマはまだまだ頑張っている方だと思いますが、やはり「濃さ」は薄れつつあります。
テレビ局にもまだ少しくらいは、気骨のある作り手が残っていると信じたいです。
そして、そうした人たちが集結し、大手芸能事務所やスポンサー企業、視聴者に媚びたキャスティングを一切せず、昭和の頃のような「濃い」刑事ドラマを作ってくれることを信じたいのです・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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