日本では、学歴の高い人、物知りな人をよく
「インテリ」
と呼びます。
テレビのクイズ番組でも、高学歴の芸能人が
「インテリ芸能人」
として登場します。
ところでこの「インテリ」、英語ではどう表現するのでしょうか?
『インテリジェンス』と思っている人が多いが・・・。
多くの人が「インテリジェンス」
「intelligence」[ɪntélədʒəns(米国英語), ˌɪˈntelʌdʒʌns(英国英語)]
だと思っているようですが、実はそうではありません。
「intelligence」は名詞で、
「知能、知性、聡明」
といった意味を持ちます。
近年急速に普及中の「AI」(人工知能)は、
「artificial intelligence」
の略語です。
使われ始めたのは明治時代!
そもそも、日本で「インテリ」が広まったのは、明治時代だと言われています。
昔の旧制高等学校で、学生たちが使い始めたのが最初だそうです。
語源は英語ではなく、ロシア語でした。
「インテリゲンチア」(英語表記は「intelligentsiya」)
という言葉です。
岩波書店 広辞苑によると、
「(もと帝政ロシアの西欧派自由主義者群の称)知的生産に従事する社会層。知識層。インテリ。」
と説明されています。
「インテリゲンチア」が縮められ、「インテリ」として使われ始めたようです。
英語でも、綴りは似ている!
大修館書店 ジーニアス和英辞典で「インテリ」を調べると、上記の「intelligentsiya」の他に
「intellectual」[ìnṭəléktʃuəl(米国英語), ˌɪntəˈlɛktʃuəl(カナダ英語)]
という単語が載っています。
「知識人、インテリ」
と日本語訳されています。
用例として
「a magazine for intellectuals」(インテリ向きの雑誌)
が紹介されています。
この「intellectual」は、名詞だけでなく形容詞としても用いられます。
「知性の、知力の」
「理論的な」
「(人が)聡明な、理知的な」
という意味を持ちます。
同様の意味の単語がある!
ちなみに、「intellectual」と同様の意味を持つ単語に
「highbrow」
があります。
大修館書店 ジーニアス英和辞典では
「(略式)知識人、教養人:インテリぶる人」(名詞)
「知的な、教養のある、インテリ向きの」(形容詞)
と訳されています。
「highbrow」は、否定的なニュアンスで使われることもあります。
最後に・・・。
昔、新潮社の「新潮文庫」のテレビCMが、夏休み近くになるとよく流れていました。
ある年のキャッチコピーが、
「インテリげんちゃんの夏休み」
でした。
麦わら帽子に虫採り網とカゴを持った子供
「げんちゃん」
のイラストが、CMや書店でのカタログに登場していました。
「インテリげんちゃん」は、
「インテリゲンチア」
をもじった表現です。
夏休みに新潮文庫を読む人=インテリ
というイメージでしょうか。
このコピーの作者は、あの糸井重里さんです。
ただ、当時この言葉遊びの意味を理解していた
「インテリ」
が、どれだけいたでしょうか・・・?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。