公共交通機関は、我々の日常生活に不可欠な存在です。
特に電車は利用者が断トツに多く、毎日ご利用の方も多いでしょう。
電車の車内や駅の構内は、不特定多数の人々が行き交う所です。
カッコ良く言えば
「見知らぬ人同士の人生が交差する場所」
といった感じでしょうか。
様々な格好の人々が乗り合わせるのが、電車の特徴!
朝夕の通勤ラッシュ時には、スーツ姿の男性やフォーマルウェアーの女性、学生服の中高生などが目立ちますが、基本的には様々な格好の人々が居合わせます。
和服姿のお年寄りの横にヘビメタスタイルの若者が座っていたり、電車の到着を待つ母子の後ろにコテコテの典型的ギャルが並んでいるといったことは、ごく普通の光景です。
特に都会の電車では、少々風変わりな出で立ちをしていても、それほど浮き上がってしまうことはありません。
周囲の人もさして気にもせず、スマートフォンを眺めているといった感じです。
時に周囲を困惑させる人も・・・。
しかし、風変わり具合も一定のレベルを超えると、車内や駅構内でその人がいる辺りだけが何となく
「別世界」
のように見えてくることがあります。
一度目にしてしまうと気になってしまい、スマホや読書に集中できなくなる場合もあり、困ってしまいます。
約30年前、駅で特急に乗り込んだところ・・・。
私が大学生だった、およそ30年近く前のことです。
私はある私鉄のターミナル駅にいました。
京都行きの特急に乗り込むと、空いている座席が割とあったので、そのうちの一つに座りました。
いわゆる「ロングシート」ではなく、中央通路の両側に席が二つ並んでいるタイプの車輌でした。
二席とも空いていましたが、私は窓際の方の座席に座り、カバンを膝の上に載せて出発を待っていました。
あと2~3分で特急は発車するので、急いで乗ってくる人が増えました。
何とはなく窓ガラス越しに前方を見ていると、遠くの方に
「極彩色」
のようなものが見えたように感じました。
遠くから近付いて来たその人は・・・。
よく目をこらすと、
ピンク色のシャツのような上着に、
緑色のフェルト生地のスカート、
脚には派手めのオレンジ色のストッキング、
頭には淡い緑色のベレー帽
という「ド派手」な格好の人がこちらの方向へと歩いて来ました。
「世の中、派手なおばさんもいるなあ・・・。」
と私は思っていました。
しかし、何か服装以外に違和感を覚えました。
ふとその人の顔を見て、私は衝撃を受けました。
顔に化粧こそ施していますが、
「100%男性」
でした。
「おばさん」
ではなく
「おじさん」
だったのです・・・。
自分のいる車輌におじさんは近付いて来る・・・。
以前、直木賞作家の志茂田景樹さんが奇抜なファッションでテレビ番組に登場し、話題を集めたことがありました。
その志茂田さんから
5ランクくらいグレードを下げた
感じの、やや背の低いおじさんが、笑みを浮かべながらホームを電車沿いに歩いて来ます。
「あのおじさんも、この特急に乗るのかな?」
と思った私の頭に、ある考えが浮かびました。
いつでも脱出できる体制を整えた!
「もしかして、この車輌に乗って来るつもり?横の席に座られたらどうしよう?」
出発時刻が迫る中、周囲の座席はどんどん埋まっていきます。
私の横、通路側の座席はまだ空いています。
誰が座ろうが自由です。
私は、とっさに通路側の席に座り直しました。
もしそのおじさんがやって来て、席を詰めるよう言われたら、席を立ってその場から離れられるようにと考えたのです・・・。
その少し後、原色ファッションの女装おじさんは、窓の外を通り過ぎて行きました。
直後に電車の出発時刻が来て、車輌のドアが閉まりました。
おじさんは、特急には乗らなかったのです。
安堵した私は、そのまま窓側の座席に移動しました・・・。
最後に・・・。
あのおじさんは、約30年前の当時でも、少なくとも40歳代のように見えました。
今でもお元気ならば、既に70歳代でしょう。
今もまだ、30年前と同じファッションスタイルを貫いているのでしょうか・・・?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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