40年近く誰も住んでいない家

怪談・都市伝説 etc(夫)

1980年代の初め、父が家を買い(もちろんローンです)現在の実家に引っ越しました。

3年ほど前からの新興住宅街で、どこの一戸建てもマンションも、新築またはそれに近かったです。

住人がいない謎の家・・・。

家から小学校への通学路沿いに、ある一戸建ての家がありました。

築浅でキレイな感じの家でしたが、通る度に何となく違和感を抱いていました。

ある日、その家の近所に住むクラスの友人に、

「あそこの家、誰も住んでないよ。」

と言われ、違和感の正体に気付きました。

全く生活感が感じられなかったのです。

確かに、窓やカーテンが開いているのを見たことがなく、人が出入りしている様子もありませんでした。

友人曰く

「家の持ち主の人は、別の所に住んでるみたい。あの家にはたまに掃除に来るだけで、普段は空き家なんだって。」

当時は小学生で、不動産については全く知識がなく、

「せっかく買った家なのに、もったいない話だなあ。」

と思っただけでした。

10年、20年経っても、空き家の状態のまま・・・。

その後も、他人に貸すでもなく売却するでもなく、その家は空き家のままでした。その間には、日本はバブル景気に沸いていた時期もあり、その家の近所の家の数軒は、かなりの高値で売却されたそうです。この家にも、買い取りたいという話の一つや二つはありそうなものでしたが・・・。

1990年代に入り、私が大学生になっても同じ状態でした。その頃になると、

「もしかして、あの家には幽霊が出るから、住めないのか?」

などと、心霊マニア特有の発想をしていました・・・。しかし、あの家はそもそも新築で建てられ、霊が出るような事件が起きたという噂は、聞いたことがありません。

私が就職してからも、つまり、その家を初めて見てから15年以上経っても、その家は空き家でした。さすがに外観は古びてきていましたが、定期的に手入れをしているのか、それほどボロボロということはなく、周囲に比べて浮いている感じもありませんでした。

所有者やプロの業者が、定期的に掃除や修繕をしていたのでしょうか。

私が実家を離れて一人暮らしをするようになっても、その家に変化はありませんでした。

結局、真相は分からないまま・・・。

仕事柄、不動産の知識も多少習得したので、

「親は子供に住んで欲しいが、子供は都市部の便利な場所に住みたいのか?」

「業者から買い取りの話があっても、高値を吹っかけるんで話がまとまらないのか?」

「建物を解体して更地にすると、固定資産税が大幅に上がるから、そのままにしているのか?」

などと、あれこれ想像(あるいは妄想)を膨らませていましたが、謎は全く解けませんでした(笑)。

数年前、父が自治会の役員をやり、他の地区の役員の人たちと仲良くなりました。その一人によると、

「所有者さん本人ではなく、息子さんらしき人が年に1~2回来て、窓を開けて換気をしたり、草むしりとかはやってるみたいです。でも、周りの誰も付き合いがないから、詳しいことは古くからの住民でも分かりません。」

ということだったそうです。

最後に・・・。

これまで色々書いてきましたが、その家で自殺や殺人、孤独死が起こった事実は確認できず、いわゆる事故物件ではありません。また、怪奇現象が起こるという噂も広まっていません。

ただ、40年近く誰も住んでいない、それだけの家です。

今、「それだけの家」とサラッと書きましたが、本来は人が住むために建てられたのに、誰一人そこで生活しないまま、40年超が経過したこと自体、何か不気味なものを感じさせます。

何の噂も立たないことに、深い闇が潜んでいるのではないかと、邪推してしまいます。

2020年7月現在、その家は空き家のまま存在しています・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。