「帝国ホテル」
の名前を知らないという方は、ほとんど皆無でしょう。
東京は日比谷公園のそばにある、日本を代表する老舗高級ホテルです。
本館が世界的建築家の故フランク・ロイド・ライトによって設計されたことも、よく知られた事実です。
日本のみならず世界中のVIPが多数宿泊してきた、格式の高いホテルです。
私たち夫婦を含む一般人には、基本的に縁遠い場所と言えます。
数年前に東京へ行く際、宿泊先を探していると・・・。
実は、私たち夫婦は一度だけ、分不相応にも帝国ホテルに宿泊したことがあります。
たった一泊ではありますが、社会的地位が5ランクくらい上がったような気分になったものです。
数年前の2月頃のことです。
その年の6月に、ある歌手のライブが日比谷野外音楽堂で行われることになり、チケットを二枚購入しました。
その日の夜は東京で宿泊することにして、どこの宿を予約しようかという話になりました。
嫁は、普通のビジネスホテルでも構わないと言いましたが、私は
「東京へ行くなんて滅多にないから、普段は絶対泊まれないようないいホテルに泊まりたい。」
と思いました。
インターネットのホテル予約サイトで調べてみると、帝国ホテルの部屋が紹介されていました。
何気なく内容を見て、ホテルの場所を確認すると、何と日比谷公園のすぐそばでした!
日比谷野音にも徒歩で行ける近さです。
当時は既に「インバウンド」景気で、外国人観光客も非常に多かったので、宿泊料金もメチャクチャ高いだろうと思っていました。
しかし、サイトに出ていたツインルームの一泊の料金は、7~8万円でした。
確かに高いですが、私の予想よりはお手頃な感じでした。
6月だったので、夏休みの時期よりは安くなっていたのでしょう。
我々は帝国ホテルに宿泊することに決め、ネット経由で予約を行いました。
ホテルの超高級な雰囲気に、我々夫婦はオドオド・・・。
6月の当日、我々は午後1時過ぎに新幹線で東京駅に到着しました。
駅地下で昼食を済ませた後、タクシーでホテルへと向かいました。
ホテルの正面玄関に着くと、ドアマンの男性がさっと駆け寄って来て、我々の荷物をフロントまで運んでくれました。
そうしたことに慣れていない我々は、オドオドしながら中に入りました。
ロビーは大勢の人々が行き交っており、一流ホテルの風格が思い切り漂っていました。
フロントへ向かう途中も、我々は
「不審人物だと思われるんじゃないか・・・。」
とビビっていました。
何とか無事にチェックインを済ませ(当然ですが・・・)、別の従業員の方が部屋まで案内してくれました。
この方は若手っぽい感じでしたが、全く隙がなく
「さすが帝国ホテルのホテルマン!」
と心の中で思いました。
こういうホテルではチップを渡すべきかと思い、千円札(一万円と奮発したいところでしたが・・・)を渡そうとすると、最初は固辞されましたが、最後には受け取ってくれました。
歴史ある本館は趣があり、部屋も快適!
帝国ホテルには本館の隣に別館もあり、こちらも豪華な建物です。
しかし、やはり本館に一度は泊まりたいと思い、本館の部屋を選んでいました。
部屋の内部も隅々まで綺麗にされており、快適そのものでした。
夕方にホテルを出て、日比谷野音まで歩いて行き、ライブを鑑賞しました。
ライブも素晴らしく、約二時間楽しめました。
ホテルのレストランでの食事も、隙のないおもてなし!
ライブの後はまっすぐホテルに戻り、ホテル内のレストラン(カフェと両用)で夕食を食べました。
ここのスタッフの方々も皆、普通のホテルやレストランとは一味違った「できる人」オーラがにじみ出ていました。
夫婦で食事をしていると、役職者っぽい感じの方が
「お味の方はいかがでしょうか?」
と声をかけてくれました。
我々夫婦は
「大変おいしいです!」
と答えました(グルメ番組のような気の利いたことは全く言えず・・・)。
その方は、料理の素材などについて、スマートかつ嫌味にならない感じで説明してくれました。
普段は高級な食事と無縁の我々は、
「そうですよね~!」
などと笑顔であいづちを打つのみでした・・・。
お茶を飲んでいると、絶妙のタイミングで・・・。
食事が終わった後、嫁が在宅ワークで知り合い色々お世話になった、東京在住の女性がホテルまで来てくださり、そこでお茶を飲みながら話をしていました。
私は紅茶を飲んでいたのですが、会話がちょっと一服したタイミングで先ほどの男性が、
「紅茶のおかわりはいかがでしょうか?」
と声をかけてくれました。
それほど喉は渇いていませんでしたが、私は満面の笑みで
「はい、お願いします!」
と即答していました・・・。
翌朝の朝食も、おいしくて完食!
その夜の就寝の際も、ベッドは本当に寝心地がよく、翌朝に嫁が
「すごく寝心地がよかったんで、すぐ寝られた!」
と感想を言ってきたほどです。
朝食は、テナントで入っている日本料理の名店
「なだ万」
で食べられるようになっていました。
ここも本来なら、我々平民の夫婦が行ける店ではありません。
朝食コースはご飯、みそ汁、焼き魚、漬物などの定番メニューですが、さすがは「なだ万」。
どの品も驚くほどのおいしさでした。
量は結構多かったのですが、嫁も私も残さず完食しました。
チェックアウトの後まで、完璧なおもてなし!
午前10時少し前にチェックアウトのため部屋を出ると、清掃スタッフの方々が空いた部屋の清掃作業を始められていました。
私たちの姿を見ると、皆さんが
「おはようございます!」
と元気に挨拶してくれたのにも、感銘を受けました。
チェックアウトを済ませ、玄関へ向かおうとすると、スタッフの男性が我々の荷物を持ってくれました。
玄関を出て我々がお礼を言うと、その方は
「ありがとうございました!」
と深々とお辞儀をして見送ってくれました。
最後に・・・。
我々夫婦のようなド平民の客にでも、最大限かつ一分の隙もない接客をしてくれる帝国ホテルは、噂に違わぬ
「日本一のホテル」
でした。
死ぬまでにもう一度は宿泊してみたいものです・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。