債務者がお金を借りる場合、もし不動産を所有していれば担保として提供することが多いです。
融資の時点では担保を差し出す必要がなくても、返済を滞納する状況になれば、債権者から売却を求められたり、仮差押や競売などの法的措置を取られたりします。
実際にお金を借りた債務者本人は、それについては元より覚悟の上で借りており、不動産を失う事態になっても一応は想定の範囲内でしょう。
連帯保証人の場合は、話が違ってくる!
一方、連帯保証人の場合は状況が大きく異なります。
融資時に連帯保証人が所有不動産を担保に差し出すことも多いのですが、そうでないケースでは債務者が順調に返済を継続していれば、連帯保証人と債務者の関わりは、定期的な債務残高の通知くらいしかありません。
債務者が無事債務を完済してくれれば、連帯保証人としてはメデタシメデタシです。
ところが、債務者の返済が滞り、返済不能となった際は、当然連帯保証人が残りの債務全額を返済するよう求められます。
ここで連帯保証人が一括で完済すれば、債権者にとってはめでたい結果となるのですが・・・。
担保に入れていなくても、連帯保証人の不動産の売却を求められる場合も!
ところが、そんな風に丸く収まる事例はそう多くはありません。
連帯保証人にも一括完済できる資力はないという場合が多いのです。
そこで連帯保証人に所有不動産があれば、債権者はそれを売却して返済資金を工面するよう求めることになります。
この段階で、連帯保証人はビックリします。
「担保に入れたわけじゃないのに、何で自分の不動産を売らないといけないんだ?」
と困惑し、怒りを覚えます。
しかし、債権者はそれで引き下がるほど甘くはありません。
返済交渉の中で、任意売却、あるいは所有不動産への抵当権設定と、どちらに転んでも連帯保証人にはマイナスとなる話を持ちかけてきます。
最終的には、法的措置により強制競売されることも・・・。
交渉がまとまらず決裂すれば、債権者は不動産仮差押の申立を行い、連帯保証人が不動産を勝手に処分したり、家族などに名義変更しないよう保全します。
それと並行して、連帯保証人に対して訴訟を申立し、勝訴(通常のケースならほぼ債権者が勝てます)したら債務名義を取得します。
この債務名義により、仮差押した不動産の競売申立ができます。
この場合の競売は「強制競売」と呼ばれます。
そこまで来ると、連帯保証人にはもう打つ手はありません。
せいぜい、ある程度のまとまった金額を支払い、債権者のために不動産に抵当権を設定し、残額を3~5年ほどで完済する約束を交わすくらいです。
公的機関などを除いて、債権者は少額返済で様子を見ることはしません。
銀行などの金融機関では、昔は
「競売で回収するなんて、自分たちの見通しの甘さを白状するようなものだ。」
と、格好悪いこととされていたそうです。
しかし現在は、ほとんど機械的に競売申立がなされています。
債権者は、連帯保証人の不動産も定期的にチェックしている!
債権者は、債務者がそろそろヤバくなってきた頃には、連帯保証人の資産調査を行っています。
債務者への融資時にも行っていますが、連帯保証人の資産状況まで徹底的には調べる余裕がありません。
また、保証人も正直に話すとは限りません。
そして、融資時には本当に資産がなくても、後に状況が変わっていることもあります。
回収部門の担当者が調べてみると、連帯保証人の自宅が実は賃貸ではなく分譲マンションだったり、亡くなった親の家を相続していたり、自宅をローンで購入していたり・・・と、不動産を持っている事実が判明することはちょくちょくあります。
債務者が破産などの法的整理を申立したり、行方不明や病気などになっていなければ、先に債務者との返済交渉を行いますが、債務者からの回収が難しいと思えば、
「連帯保証人は不動産を持ってるから、最後はそっちから回収するしかないか。」
という流れになります。
債務者からは事実を知らされず、連帯保証人は結局泣きを見る!
以前のブログにも書きましたが、債務者はなかなか連帯保証人に自分が返済できていない事実を伝えたがりません。
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なので、債務者が債権者から厳しく詰められていても、ノンビリしているケースが多く、まさに
「知らぬが仏」
です。
債権者から現況を聞かされてビックリし、自分の不動産の売却の話まで持ち出され、さらにビックリします。
ローンがまだまだ残っていて、売却が不可能な場合でも、仮差押されたり、抵当権の設定を求められる可能性は十分にあります。
最後に・・・。
連帯保証人になるのは、いつ爆発するか分からない時限爆弾を抱え込むのに等しいのです。
最悪の場合、自分も全財産を失う危険を秘めています。
「連帯保証人にまで厳しいことは求めてこないだろう。」
と甘く考えないでください。
お金が絡むと人間、もちろん債権者は、激辛なことを平気で言ってしまえるのです・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。