簡易裁判所の数は多い!実はあなたの身近にある!

「簡易裁判所」

と言われても、多くの方々にはピンと来ないはずです。

裁判所の組織上は、地方裁判所の下に位置します。

しかし、数の上では

地方裁判所(本庁、支部合わせて全国に253ヵ所)

家庭裁判所(本庁、支部、出張所合わせて全国に330ヵ所)

より多く、全国に合計438ヵ所設置されています。

 

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人口の多い都道府県では、簡易裁判所の数が多い!

各地の地方裁判所(本庁または支部)に併置されている所が253ヵ所、単独で設置されている所が185ヵ所です。

裁判所のWebサイトから引用すると、簡易裁判所は民事事件では

「訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件」

について、刑事事件では

「罰金以下の刑に当たる罪及び窃盗、横領などの比較的軽い罪の訴訟事件等」

について、第一審の裁判権を持っています。

東京都では10ヶ所、愛知県では12ヶ所、大阪府では13ヶ所(大阪簡易裁判所の交通分室は異なる場所にあり、それも1ヶ所と数えた場合)と、人口の多い都道府県では二桁に達します。

 

簡易裁判所の立地は、交通の便が悪いことが多い!

例えば東京簡易裁判所や名古屋簡易裁判所、大阪簡易裁判所のように、都道府県の名前が付いている簡易裁判所は、各地方裁判所に併置されており、同じ敷地内です。

しかし、単独で設置されている

「独立簡易裁判所」

は、地裁があるような市街地の中心部にあるとは限りません。

むしろ、やや交通の便の悪い場所にある場合がよくあります。

例えば電車の最寄り駅から徒歩10~15分かかったり、駅からバスで行くしかないといった具合です。

 

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小さく地味な建物で、目立たずひっそりと建っている・・・。

敷地もそう広くなく、こじんまりとしています。

街中の幹線道路沿いで、他のビルなどと見分けがつきにくい感じで、ひっそりと建っている感じです。

当然「○△簡易裁判所」という看板はあり、地名を示す交通表示板(信号のそばによくあります)でも、「○△簡裁南」などと表示されています。

しかし、特に注意を払っていなければ、すぐそばを徒歩や車で通りかかっても、気付かずに行き過ぎるくらい地味な佇まいです。

建物は、二階建て程度の大きさの所がほとんどです。

 

一度だけ、仕事で『独立簡易裁判所』に行った!

私は一度だけ、そうした「独立簡易裁判所」に行ったことがあります。

10年ほど前、債権回収の仕事で担当していたある案件で、連帯保証人が簡易裁判所での調停を申し立ててきたのです。

債権者の側が裁判を申し立てる場合は、相手の住所地にかかわらず、債権者の指定する裁判所に申立できます。

東京なら東京地裁や東京簡裁、京都なら京都地裁や京都簡裁という具合です。

債権者と債務者などの間で締結された契約書のどこかに、

「事物管轄」

「合意管轄」

に関する条項があるので、それを根拠にしています。

「事物管轄」や「合意管轄」については、当ブログの下記の記事をご参照ください。

 

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しかし、債務者や連帯保証人の側が調停などを簡易裁判所に申し立てる際は、申立人の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てることが可能です。

申立してきた連帯保証人の住所地を管轄する簡易裁判所が、「独立簡易裁判所」の一つだったのです。

 

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調停はたった一回で不成立に・・・。

調停の第一回が行われる当日、回収担当者である私はその簡易裁判所へと向かいました。

ある私鉄沿線の駅で降り、そこから商店街を通り抜けると、割と大きな道路に出ました。

そこから道路沿いに少し歩くと、目的の簡易裁判所が見つかりました。

駅から徒歩10分ほどの距離です。

二階建ての地味な建物で、地裁と併設されていないので人の出入りも少ないです。

私が到着した時点では、出入りする人は皆無でした。

1階に受付はなく、地裁には必ずいる守衛さんも見かけませんでした。

掲示板の指示通りに2階へ上がり、事務室らしき部屋に入ると、やっと書記官や事務官らしき人の姿を見ることができました。

用件を告げると、控室に案内されました。

5分ほど待っていると、調停室に呼ばれました。

室内には調停委員が二人座っていました。

申立人である連帯保証人は、先に面談して別室で待っているとのこと。

調停委員から相手側の意見・要望につき説明を受けた後、こちら側の意見や応諾できること・できないことにつき説明しました。

連帯保証人の要望は、債務の一部を一括で支払い、残りは免除して欲しいという「定番」のものでした。

それは応諾できないことを伝え、調停委員も和解は無理と判断したようです。

面談はその一回で終わりとなり、「調停不成立」という結果に至りました。

 

最後に・・・。

今まで簡易裁判所の存在をご存知なかったか、ご存知でも気に留めたことなどなかったという方が圧倒的多数でしょう。

今後お住まいの近所を歩いたり、車で通ったりなさる際、人の出入りがほとんどなく地味な二階建ての建物があったら、一度ご確認いただきたいと思います。

もしかすると、そこが簡易裁判所かもしれません・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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