どの言語においても、言葉は時代と共に変化します。
日本語においても、例えば江戸時代の文章(「候文」(そうろうぶん))は、現代人には大変理解しにくいものです。
また、言葉の流行り廃りも起こります。
現在は令和4年(2022年)です。
しかし、3年前までの「平成」、さらに前の「昭和」時代には普通に使われていた言葉が、若い人たちには意味の通じない
「死語」
となっている例は、枚挙に暇がありません。
『パチモン』『バッタモン』を知ってますか?
皆様は、
「パチモン」
「バッタモン」
という言葉をご存知でしょうか?
どちらも、関西方面でよく使われた言葉だそうです。
「パチモン」は、
ブランド物のバッグや時計、売れ筋商品などを模倣した品物、つまり
「偽物」
を意味します。
「バッタモン」は元来は、
使用期限切れ(もしくは間近)、外箱や包装が傷んで店頭に出せない品物、または倒産した会社・店舗の倉庫から流れて来て買い叩かれた品物
を指していました。
しかし時代と共に、両者は混同され、いつの頃からか
「バッタモン」も「偽物」を指す言葉
として使われるようになりました。
『パチモン』は、関西以外でも通じると思っていた!
私は、関西生まれ関西育ちの
「典型的関西人」
です。
中学生くらいの頃には、どちらの言葉の意味も知っていました。
ただ「パチモン」については、関西以外の地方でも意味が通じると思っていました。
なぜなら、全国区のテレビや雑誌などで、
「パチモノ」
という表現を見聞きした記憶があったからです。
そのため、
「関西では『パチモン』と言うけど、他の地方でも『パチモノ』として理解してもらえるはず。」
と勝手に思っていました。
『パチモン』と呼ぶ、自分なりの基準も持っていた!
そして、どんな物を「パチモン」と呼ぶのかにも、自分の中で基準がありました。
同じ「偽物」でも、非常に精巧な物は、「パチモン」とは呼びませんでした。
素人が見ても明らかに怪しいと分かるような、
クオリティーが低い
しかも、本来ならあり得ない値段で売られている
品物が「パチモン」だと、自分なりに解釈していました。
『バッタモン』は、関西限定だと思っていた・・・。
一方、「バッタモン」については、私はなぜか
「この言葉は、関西限定だろうな・・・。」
と認識していました。
というのも、関西のテレビ・ラジオ番組で、お笑いタレントがよく「バッタモン」を使っていたからです。
「吉本の○○師匠は、よく芸人仲間にブランド物のバッタモンをくれる。」(この場合は、偽物の意味)
「あの漫才師は、商売人の知り合いが多い。だから、倒産した会社から差し押さえて来たバッタモンを、安く買ってるらしい。」(この場合は、倒産流れの品物の意味)
など、両方の意味で用いられていました。
令和の現在、ネットで調べてみると・・・。
私が10代の頃は、ちょうど昭和の末期でした。
しかし、成人して30年以上が経った2022年でも、「パチモン」や「バッタモン」は、少なくとも関西では普通に通じると思っていました。
ところがです。
最近、「死語」に関するブログ記事を書こうと、インターネットで下調べをしていた時のことです。
「パチモン」及び「バッタモン」が、死語に含まれているといった内容の記事やサイトを、複数見つけました。
それも、関西以外で死語になっているという趣旨ではありませんでした。
関西ですら、若い世代の人たちには、どちらの言葉も意味が通じないということでしょうか・・・。
本当に、関西でも死語と化したのか?
これは本当なのでしょうか?
私も、「パチモン」や「バッタモン」に関するネット検索結果を、全てチェックするほどの暇人ではありません。
また、大学の研究室のように、関西中の若者たちにアンケート調査を実施する力もありません。
なので、令和の若者たちに「パチモン」、「バッタモン」がどれだけ浸透しているのか、はっきりした実情は不明です・・・。
最後に・・・。
ですが、考えてみれば最近の関西の若者は、男女ともあまりコテコテの関西弁は使いません。
関西生まれ関西育ちなのに、話し方がほぼ標準語という人も、時々います。
そうした今どきの
「ナウなヤングたち」(バリバリの死語です・・・)
には、「パチモン」や「バッタモン」のような
「ソース味の濃い関西弁」
は、遠い存在なのでしょうか・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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