「concession speech」・・・?
一体何のスピーチ?
すぐお分かりになられた方は、一定レベル以上の英語力をお持ちか、テレビや新聞などのニュースを集中してご覧になられている方でしょう。
その両方かもしれません。
2020年の11月、この
「concession speech」
が行われなかったことが、世界中で話題となりました。
『concession』は勝負につきもの!
大修館書店 ジーニアス英和辞典によると、
「concession」[kənséʃən(米国英語), kʌˈnseʃʌn(英国英語)]
の持つ意味は複数ありますが、その中に
「(〜への)譲歩、容認」
という意味があります。
動詞形は
「concede」[kənsíːd(米国英語), kʌˈnsi:d(英国英語)]
となります。
この動詞の意味の中には
「(〜だと)容認する」
「(試合などで)敗北を認める、降参する」
があります。
例として
「concede defeat」(しぶしぶ敗北を認める)
が載っています。
オックスフォード現代英英辞典では
「to admit that you have lost a game, an election, etc.」
と説明されています。
アメリカ大統領選では、伝統となっていた!
もう皆様お分かりでしょう。
「concession speech」
は、日本語にすると
「敗北宣言」
となります。
オックスフォード現代英英辞典では、(especially AmE)と表記されており、アメリカ英語でよく使われる言葉です。
アメリカに限らずどこの国でも、選挙で負ければ敗北を認めざるを得ません。
ただ、アメリカの
「大統領選挙」
では、この敗北宣言は長きに渡る伝統となっていました。
開票作業が進む中で、どちらかの候補者が代議員の過半数を獲得すると、敗れた候補者は敗北宣言を行い、次期大統領となる相手に祝福の電話をかけます。
「concession speech」の後は、敗れた候補者も
「good loser」(良き敗者 = 潔い敗者)
として讃えられる・・・はずでした。
負けを認めない人間は『bad loser』と呼ばれる!
ところが、昨年2020年の大統領選挙では、伝統が破られました。
再選を目指していたドナルド・トランプ(前大統領)が、ジョー・バイデン(現大統領)に敗れたにもかかわらず、敗北宣言を行いませんでした。
「選挙で大がかりな不正があった!」
と大々的に主張し、法的措置まで申し立てました。
しかし、もちろん選挙結果は変わりませんでした。
トランプ前大統領はバイデン新大統領の就任式にも出席せず、歴史に残る(悪い意味で)
「bad loser」(悪しき敗者 = 往生際の悪い敗者)
としてホワイトハウスを去りました・・・。
最後に・・・。
アメリカのアカデミー賞女優
ハル・ベリー
は、次のような言葉を母親から聞いたそうです。
「負けを受け入れられない人間は、勝者にもなれない。」
非常に含蓄のある言葉です。
私を含むほとんどの人間は、人生の中でも勝利より敗北の方を多く経験するはずです。
潔く敗北を認め、堂々と新たな挑戦に乗り出す
「good loser」
でありたいものです・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。