令和の世を生きる若者たちに、
「地上げ屋」
という言葉は、どれほど通じるでしょうか?
つい先日も、昔は通じたが今は若者に通じない
「死語」
に関する記事を書きました。
どの言語においても、言葉は時代と共に変化します。日本語においても、例えば江戸時代の文章(「候文」(そうろうぶん))は、現代人には大変理解しにくいものです。また、言葉の流行り廃りも起こります。現在は令和4年(2022年[…]
この「地上げ屋」も、10代〜20代の若者には
「何を売ってるお店ですか?」
と聞かれるかもしれません。
『地上げ屋』はバブル期に暗躍!
「地上げ屋」とは、
・再開発されそうな地域の土地を買い漁り、高値で売却する
・開発業者(デベロッパー)の依頼を受けて、対象区域の地権者と売買交渉を行う
集団のことです。
地価を上げることで利益を得ようとすることから、「地上げ屋」と呼ばれます。
大抵は法人組織の形をとっていますが、実態はヤクザ絡みの人間の集まりです。
売却に反対する地権者、立ち退きを拒む賃借人に対し、嫌がらせや脅迫を行ったり、時には放火事件まで起こしました。
1980年代半ば〜1990年代初頭辺りまで、すなわち
「バブル景気」
に日本社会が浮かれていた頃が、地上げ屋が最も暗躍していた時期でした。
21世紀の再開発にも、地上げ屋の影が・・・。
バブル崩壊と共に、地上げ屋の大部分も姿を消して行きました。
しかし数は少ないながら、21世紀の現代でも、地上げ屋はまだ存在しています。
日本各地で計画・実行されている再開発プロジェクトの裏側にも、地上げ屋の影がチラついているそうです。
大阪の再開発地域に、老舗の花屋が・・・。
大阪府の某所は、21世紀初頭に大規模再開発が実施され、街の風景が大きく様変わりしました。
多くの若者たちが集まる
「オシャレタウン」
へと変貌を遂げました。
その中の一角に、一軒の花屋がありました。
かなり古くから、その地で営業していたのでしょう。
建物は、かなり老朽化した二階建て。
周囲ビルや小綺麗な店舗に比べると、はっきり言ってボロい感じでした。
しかし、店頭や店内はセンスの良いレイアウトで、自然を感じさせる雰囲気でした。
プレゼント用の鉢植えや花束などが大きな売りで、休日などは女性中心に多くの客で賑わっていました。
テレビや雑誌で紹介されたこともありました。
私たち夫婦も、贈答用の鉢植えを買ったことがあります。
その花屋を久しぶりに訪れてみると・・・。
今から3年ほど前、まだコロナ禍に見舞われる前でした。
ある祝日の日、夫婦で用事に出かけた際、およそ1年ぶりにその街へ足を伸ばしました。
そして、件の花屋のそばを通りかかりました。
立地の良い場所だったので、
「今日もお客で混雑してるのかな。」
と思いながら、その店の前へと歩いて行きました。
嫁と私は驚きました。
シャッターが下りていたのです。
時間帯はお昼過ぎ。
祝日だったので、定休日という訳でもなさそうです。
臨時休業かなと思いましたが、シャッターには貼り紙一枚もありませんでした。
よく見ると、店の上方の看板が外れてなくなっていました・・・。
店のすぐそばに、思いがけない店が・・・。
「これって・・・。閉店してしまったのかな?」
嫁と私は、顔を見合わせました。
繁盛している店でも、経営実態が思わしくなく、閉店を余儀なくされるケースは多々あります。
「ここも、その一例だったのかな・・・?」
そう思いながら横を向いたところ、思いがけない光景を目にしました。
2軒隣に、以前はなかった、3階建てのビルが建っていました。
そこは1階〜3階が全て、ある
「焼肉店」
の店舗になっていたのです。
花屋跡の真隣は、同じように小さい建物でした。
なので、花屋のすぐ横と言っても差し支えない距離でした。
いくら臭いや煙などの対策をしたとしても、花屋のすぐ近くで焼肉店を営業されては、花屋の営業に支障が出たはずです。
ちなみに真隣の建物にも、テナントは入っておらずシャッターが下りていました。
もしかして、地上げの手口だった?
私の頭には、嫌な想像が浮かびました。
「これってもしかして、花屋を閉店させるための手口だったんじゃないか・・・?」
実はその花屋は、角地に建っていました。
そこと隣の建物さえなければ、結構まとまった区画が確保できそうでした。
そして、いつの間にか出来ていた焼肉店も、名前を聞いたことのない店でした。
周囲には、大阪や関西で名を知られた飲食店、あるいは東京で大人気の飲食店が多数支店を出しています。
無名の焼肉店が出店できるような場所ではないはずですが・・・。
そのエリアは、再開発の前に「地上げ」が行われ、怪しげな連中が蠢(うごめ)いていたとの噂が飛び交っていました・・・。
最後に・・・。
当時と同じ連中が、工作を行ったとは考えられません。
しかし、再開発を主導した某大手デベロッパーにとっては、あの花屋(おそらく、土地売却は拒否したはず)は邪魔な存在だったでしょう。
デベロッパーには、都合の良い状況になりました。
ただ、あくまでも私の個人的な想像(もしくは妄想)に過ぎません。
真相は、全くもって不明です。
ですが、そういった想像・妄想・邪推が、真実を突いていることはよくあるものです・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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