昔からビジネス雑誌、ファッション雑誌(特に男性向け)でよく特集されるテーマに
「一流の人は、これを持っている!」
があります。
ビジネス界や芸能界、スポーツ界で話題の人物が持っている物、身に着けている(付けている)物が紹介されます。
とは言っても、大抵は服や靴、カバン、時計などです。
肝心の、
「仕事に役立つ物」
はほぼ見当たりません・・・。
成功と持ち物は、無関係のはずだが・・・。
それらを使うことが、いかに仕事に役立つか、効率的かなどを長々と説明し、各人の成功に結び付けようとしています。
しかし、そうした記事を目にしても、個人的にはとても読む気になれません。
人間の成功と、その人の普段の持ち物を関連付けようとすること自体、どだい無理な話です。
ところが令和の世になっても、そうした特集というのは時折見かけます。
この手の特集を組むと、雑誌の売れ行きが伸びるのでしょうか。
『ステルス・マーケティング』の一種!
この類の記事は、今で言う
「ステルス・マーケティング」(略称:ステマ)
の一種と言っていいでしょう。
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雑誌の編集部としては、あれこれ知恵を絞る手間が省けます。
必要な資料なども、相手方から提供してくれます。
そして、商品を紹介してもらうメーカーなども、品物などを提供するだけで宣伝してもらえます。
費用対効果は抜群です。
雑誌と企業の双方にとって、
「オイシイ」
話です。
人間の心理をくすぐる効果はアリ!
「ステマ」自体の効果はともかく、
「有名人や成功者と同じ物を持ちたい」
という人間の心理をくすぐる効果は、一定程度あるのでしょう。
でなければ、こんな「使い古した」テーマが、一定周期で再登場するはずもありません。
有名俳優・女優がドラマ内で使っていた物(サングラスやバッグなど)が、放送後に急に売れ出すことは、日本でも今までによくありました。
英語では、有名芸能人などに憧れが強く、同じような格好をする人を
「wannabe」(ワナビー:その人になりたいと思うほどの熱狂的ファン)
と呼びます。
出世や経済的成功への願望とも結合!
そうした心理が、芸能人・スポーツ選手への憧れに留まらず、
「成功者になりたい!」
「出世したい!」
「金持ちになりたい!」
という欲望・願望とも結合するのでしょう。
そして、
「自分も『一流の人が持つ物』を持って、一流になるぞ!」
と、形から入って行くのでしょう。
『無駄遣い』、『分不相応』となるのがオチ・・・。
もちろん、それで自分が一流になれることなど、絶対にありません。
一流に「なった」人が持つ高級品を、まだ何者でもない人間が無理して買っても、単なる
「ええカッコしいの無駄遣い」
に過ぎません。
また、周囲の人たちからも
「分不相応な物を持っている見栄っ張り」
と思われかねません。
何らプラスになりません。
自分が一流の人間(何を基準とするのか、よく分かりませんが・・・)になってから買えばいい話です。
順序を逆にしても、効果はゼロです。
『オンラインサロン』にハマる人も、同じ傾向が・・・。
近年はネット上で、
「インフルエンサー」
なる人種があちこちに蠢いています。
企業とタイアップして(もちろんステマ)、色々な商品を宣伝する人間が多いです。
インフルエンサーの一部は、
「オンラインサロン」
と称するサークルを主催し、加入者から会費を取って稼いでいます。
ネット版「自己啓発セミナー」
としか言いようのないサロンが多いようです。
「一流の人と同じ物を持ちたい!」
と考えるような人は、そうしたオンラインサロンにもハマってしまいがちではないでしょうか。
成功者(本当に成功者なのか、疑わしい人物が大多数)たちと交流し、生き方や考え方を真似することで、自分も成功者になろうという発想は、「一流の人と同じ物を持つ」と根本が同じです。
最後に・・・。
現代の広告・宣伝戦略は非常に巧みです。
自分が広告・宣伝に踊らされているにもかかわらず、
「自分の意志で買っている、加入している」
と思い込んでしまうようになっています。
「自分は『カモ』の候補として見られている。」
という自覚を持たないうちは、真の
「成功者」
「一流の人」
には到底なれそうもないのですが・・・。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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