「スマホ脳」(新潮新書)はためになるが怖い本!

2020年(令和2年)11月に日本語版が発行されてから、同年12月末までのわずか1ヶ月ほどで

アンデシュ・ハンセン(Anders Hansen)の著書

「スマホ脳」(久山葉子訳:新潮新書)

は、何と4刷を数えるベストセラーとなりました。


 

「スマホ脳」という書名に、読者が興味を惹かれたという面もあるでしょう。

しかし、本書は今時の本にありがちな

「煽り系」

の本ではありません。

 

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単なる『スマホ害悪論』ではなく、スマホとの距離の取り方を提唱!

著者はスウェーデン人の精神科医です。

世界中の様々な研究・実験の結果や、著者が日々向き合う患者たちの実例、そして自らの体験などを例に挙げ、スマートフォンという

「現代人の必須アイテム」

の抱える大きな問題を指摘していきます。

但し、著者は完全な

「スマホ否定論者」

ではありません。

21世紀を生きる現代人にとって、もはやスマホなしの生活は考えられないことを理解しています。

著者自身も、日常生活でスマホに振り回されがちであることを語っています。

その上で、

「スマホ依存症」

に陥らないための

「適度な距離の取り方」

を提唱しています。

 

人類の歴史の中で、スマホの歴史はごく短い!

本書の第1章では、スマホが登場してからの10年ちょっとの年月は、

「人類の歴史の中では極めて短い期間」

でしかないことを強調しています。

人間が、たかだか11cm × 6cm 程度の小さい画面とにらめっこするという状態は、20年前には存在しませんでした。

「そもそも人間の脳は、スマホやタブレットといった機器に適応するようにはできていない。」

という指摘を読んで、

「確かにそうだよな・・・。」

と納得しました。

人間の脳がスマホなどに適応しようとすると、当然無理が生まれます。

それが精神的ストレス、うつ病などにつながっていくのは、自然な現象と言えます。

 

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ドラッグのような魔力あり!故スティーヴ・ジョブズは自分の子供に・・・。

しかし、スマホやタブレットからあふれ出す情報は、まるでドラッグのように我々利用者を虜にしてしまいます。

どんどん新しい情報という刺激を欲しがるようになります。

WebサイトやSNS、アプリなども、それを促進しようとあの手この手を使って来ます。

本書で紹介されている有名な話に、アップル創業者の

故スティーヴ・ジョブズ

の逸話があります。

2010年(平成22年)初めに

初代 iPad

が発売されてしばらくした頃、ジョブズはあるインタビューで

「iPad は、自宅ではそばにすら置いていない。」

「自分の子供たちには、スクリーンタイム(閲覧時間)を厳しく制限している。」

と、驚くべき発言をしていました。

自社イチ押しの新製品を、自分の子供にはあまり触らせないというのです。

その時点でジョブズは既に

「スマホ・タブレット依存症」

の恐ろしさに気付いていたはずだと、著者のみならず多くの人が指摘しています。

この話を初めて聞いた時、以前から言われている

「タバコ会社の重役は、タバコを吸わない。」

「ファストフードチェーンの社長は、自社のハンバーガーを滅多に食べない。」

といった話を思い出しました・・・。

 

現代社会では、『集中力』は希少価値!

そして著者の指摘の中で、もう一つ深く納得したのが、

「集中力こそ現代社会の貴重品」(この言葉は第4章のタイトルにもなっています)

というものです。

スマホの登場以前から、パソコンやインターネットは我々の生活・仕事の一部となっていました。

パソコンを駆使して、複数の作業を並行して行う

「マルチタスク」

なるものがもてはやされました。

インターネットのおかげで、情報を矢継ぎ早に入手できます。

しかしこうした状況下で、我々の集中力は向上するどころか、確実に低下しています。

スマホの登場は、人間の集中力に対しての更なる

「強烈な一撃」

となったのは、言うまでもないでしょう。

2021年現在、著者の言う通り

「集中力」

は子供だけでなく年齢を重ねた大人にとっても、貴重な

「財産」

と位置付けられるようになりました。

 

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スマホへの依存度の違いが、学力や思考力の差に!

集中力の低下は、子供や若者には

「学力低下」

という形で、大きな不利益となって返って来ます。

大人にも、

「思考力低下」

という重大な影響をもたらします。

また、自分の頭や体を使って物事を覚えたり考えたりする人と、パソコンやスマホの答え・判断や指示に頼りがちの人では、

「脳そのものの大きさの発達」

にも差が出る旨が、様々な実例や研究結果によって語られています。

 

最後に・・・。

本書は内容が興味深く面白い上に、日本語訳が上手です。

そのため、非常に読みやすくなっています。

私はのめり込んで、一日ちょっとで完読しました。

非常に

「ためになる本」

ですが、我々読者には恐ろしい指摘で一杯です。

スマホやタブレットと切り離せない日常を送る現代人にとっては、非常に

「怖い本」

でもあります・・・。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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