最近インターネットや雑誌でよく目にする言葉に
「情報弱者」
があります。
「情弱」と省略されることも多いです。
情報弱者だとヤバイ?
ネットやSNSの情報を早く手に入れ、正確に理解する能力がないと、現代社会では成功できない、つまり「負け組」になるという意味のようです。
ITに疎い中高年世代をバカにする意味合いも持っています。
しかし、この手のレッテル的な言葉って、手を変え品を変え出てくるものですね・・・。
アメリカなどの英語圏でも、「digital divide」(デジタル・ディバイド)という言葉が2000年代初め~半ば頃によく用いられました。
インターネットを使いこなせない、または使える環境にない人は、これからのIT時代に取り残されるという意味です。
情報は増えたが中身の方は・・・。
インターネットの爆発的普及により、我々を取り巻く情報量は等比級数的に増大しました。しかし、情報量が増えたことで、我々の生活にどれほど良い影響があるのでしょうか?
新聞、雑誌、テレビやラジオといった既存の「オールドメディア」しかなかった時代と比べると、情報の正確性は格段に低下していると強く感じます。
誤報、情報改竄、印象操作、圧力による内容・表現の変更・・・など、様々な不祥事が度々明るみに出ています。
今は、我々一般人も自由に情報を発信できますが、誤った情報(意図的かどうかに拘わらず)を広めてしまうリスクを同じように抱えています。
ネット上に蔓延する噂やデマに振り回され、自分自身がFake News(偽ニュース)を拡散する側になってしまう危険が、常につきまといます。
ネットリンチの加害者になるかも?
また、そうしたニュースを鵜呑みにし、他人を誹謗・中傷するという行為に走ってしまう恐れもあります。
そうした行為をしてしまう人は、日常生活ではむしろ大人しく、礼儀正しい人が多いとはよく聞く話です。
ところが、ネット上では人格が変わったように(普段は隠している本性が表に出るのかもしれませんが・・・)、思い込みの一方的な正義や常識を振りかざし、汚い言葉で知らない人間を罵倒してしまいます。
いわゆる「ネットリンチ」ですが、当然ながらネット掲示板やSNSでも、完全な匿名性など存在しません。
警察が本気で調べれば、どこの誰が書き込みを行ったかなど、分かってしまうことくらい、私のようなITオンチでも分かるのですが・・・。
犯罪者のカモにされるかも?
我々は加害者になる恐れもありますが、被害者になる恐れもあります。
ネット空間を舞台とした犯罪の被害は、後を絶ちません。
特に、詐欺の被害には要注意です。
典型的なパターンとしては、
①SNSなどで集めたオンラインサロンの有料会員に、「絶対儲かる株」の銘柄を吹聴し、自分は反対売買を行って大儲け。古典的な仕手グループと同じ手口。
②「資産100億のカリスマ投資家」が「年30%のリターン」を謳い文句に、多数の人たちからお金を集めたが、全く投資せず、外車、マンション、愛人などに浪費。これも昔から絶えない古典的犯罪。
ネット詐欺の事件は、上記のようにベタ(定番)で分かりやすいものが多く、昔からあるアナログ型の詐欺を、現代風にチョコッとアレンジしたに過ぎないのですが、なぜかカモを見つけることができてしまいます。
本当に金になる情報は、他人には話しません。
自分だけ、あるいは限られた身内だけで独占します。
情報の海はいつも大荒れ、血に染まっている?
皆様は、ブルーオーシャン(青い海)という言葉をご存知でしょうか。
経営学の用語で、競争相手がいない、または少ない市場のことです。
反対に、競合他社が多数存在して、激しい競争を繰り広げる市場を、血に染まった赤い海、すなわちレッドオーシャン(赤い海)と呼ぶそうです。
現在のインターネット空間は、広大なレッドオーシャンと呼んだら言い過ぎでしょうか?
常に他人を攻撃しようと、手ぐすね引いて待ち構えている姿の見えない人間たち。
甘い話でコーティングした偽情報を仕掛け、獲物をおびき寄せる犯罪者たち。
インチキのような情報戦略を駆使して、商品を買わせよう、サービスを受けさせよう、自分を応援させよう、などと考えている人間たち。
貴方は、こうした悪意・敵意にあふれた情報の大海原を、無事に泳いで生き続けられると、自信を持って言えますか?
私は、もちろん言えません・・・(ITダメダメ人間ですので(笑))。
最後に・・・。
これまで色々書いてきましたが、結論としては、
ほとんどの人間が、「潜在的情報弱者」だということです。
様々なソフトやアプリ、SNSなどを利用し、ネット通、IT通を気取っていても、本当の「情報強者」などほとんどいないのです。
スマートフォンやタブレットPCをチョコチョコッと弄れば、何でもできる、他人より優位に立てるなどと考える人間こそ、むしろ「情報弱者」ではないかと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。