なぜ演技派を目指す女優は松本清張ドラマに出たがるのか?

このブログをお読みの皆様に

「松本清張」

をご存知ないという方は、どれくらいいらっしゃるでしょうか。

若い世代の方だと、もしかして「誰ですか?」という方がいらっしゃるかもしれません。

松本清張(まつもと せいちょう:1909~1992年)は、日本の推理小説界に革命を起こした作家であり、「点と線」、「砂の器」を始め書き切れないほど多数のヒット小説を世に送り出しました。

単なる謎解き小説ではなく、現代社会の影・闇や男女の愛憎、人間の悲哀などを描いた「社会派」の作風で知られます。

同年代に活躍した司馬遼太郎と並び、昭和を代表する国民的作家です。

 

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みうらじゅんさんの影響で、清張作品にハマった!

私は一昨年の夏から清張作品にハマり、時々Amazonで数冊ほどまとめて買い、順番に読んでいます。

それまでも数冊ほど読んだことがありましたが、ファンという程ではありませんでした。

みうらじゅんさん(熱心な清張ファンとしても有名)責任編集の

「松本清張ファンブック」(文芸春秋社刊)

を読んだのがきっかけです。


 

時代設定は古くなっても、テーマは現代でも通用する!

清張が人気作家として本格的に活躍し出したのは、昭和30年頃からです。

よって、作品を読んでいると、東京~大阪間を夜行列車で移動したり(まだ新幹線がなかった)、電話を電話局に行ってかけたりと、かなりレトロな描写が出て来ます。

当然ながら、携帯電話もインターネットも出て来ません。

しかし、発表から40~60年経っても、清張作品は今なお映画化・ドラマ化され続けています。

前述したように清張作品は社会派のテーマを多く扱っており、根底に流れる人間の愛や欲望、小市民の悲哀といったものは、時代を超えて人々の心に訴えかけます。

時代設定や背景などの細かい部分を多少現代風にアレンジしても、物語の核となる部分はそのまま21世紀の現代に通用します。

 

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トレンディー女優が清張ドラマに結構出ている?

私が小学生~中学生頃の1970年代後半~1980年代中盤と言えば、テレビドラマでも清張原作の作品が多数放送されていました。

その頃の私には、内容がまだ難し過ぎる感じでしたが、主な出演者が有名な俳優・女優ばかりで、他のドラマとはちょっと違うなと、子供ながら思っていました。

私が大人になって随分経ってからも、清張作品はよく2時間ドラマなどで放送されていました。

そんな中で個人的に思ったのは、

「かつてアイドル的な人気で、トレンディードラマによく出てた女優が、清張ドラマに結構出てるよな。」

ということです。

正直それまではルックス先行で、演技力には「?」マークが付いていた女優が、清張作品でかなり難しい役を演じているという傾向に気付いたのです。

この傾向の原因は一体何でしょうか?

 

演技派女優への転身チャンスを狙っている?

まず最初に思い浮かぶのは、清張ドラマはトレンディードラマや安っぽいラブコメとは明らかに一線を画した、

「大人のドラマ」

だという点です。

台詞も長くて難しく、きちんと演じるにはそれなりのレベルの演技力を求められます。

今までよりもかなり高いハードルが待ち構えることになります。

しかし、アイドル的な若手女優も、いつまでもそのポジションにいられるわけではありません。

30歳を過ぎてもずっと、F1世代(20歳~30歳台前半までの女性)向け恋愛ドラマに出演することには無理があります。

当然演じる側としても、「大人の女優」かつ「演技の上手い女優」へと脱皮し、さらなるステップへと上がって行きたい気持ちは芽生えてくるはずです。

そういう時期に「原作:松本清張」のドラマの話が来たら、これをチャンスと捉える女優は多いのではないでしょうか。

もちろん苦労もあるでしょうが、それを機会に本格派女優へと成長して、仕事の幅・数ともに拡大して行こうと考えても不思議ではありません。

 

米倉涼子の大成功が大きな刺激に?

そして21世紀になっても、そうしたステップアップに見事に成功した例があるため、多くの女優が同じ道を続こうとしていると考えられます。

その成功例は、皆様ご存知の

米倉涼子さん

です。

2004年(平成16年)に、テレビ朝日系で清張の代表作の一つ

「黒革の手帖」

がドラマ化された際、ヒロインを演じたのが米倉さんでした。

地味な女性銀行員が、銀行の金を横領。

その金を元手に東京は銀座でクラブを開業。

夜ごと集う紳士たちの秘密・弱みを握って操り、夜の世界でのし上がろうとします・・・。

なかなかの難役です。

下手な女優が演じると、ドラマ全体が台無しになりかねません。

当時の米倉さんは知名度は高かったものの、代表作と言える作品はこれといってなく、女優としての分岐点に差し掛かっていました。

しかし、この「黒革の手帖」で熱演を披露し、ドラマは大ヒット。

米倉さん自身も女優として大ブレイクし、その後新たな代表作となる

「ドクターX 大門未知子」

にも主演しました。

このドラマはシリーズ化され、決め台詞

「私、失敗しないので。」

も流行語となったことは記憶に新しいところです。

余談ですが、米倉さんは故・市原悦子さんの怪演で一世を風靡したドラマ

「家政婦は見た!」

のリメイク版に主演しました。

実はこの「家政婦は見た!」の原作は、何と清張だったのです!

清張の「熱い空気」がベースとなっていたのです。

 

事務所の後輩、武井咲も清張作品でステップアップ!

2017年(平成29年)に「黒革の手帖」が再びドラマ化された際に主役を演じたのは、米倉さんが当時所属していた芸能事務所「オスカープロモーション」の後輩、武井咲さんでした。

前評判は高くなかったのですが、周囲の予想を裏切り、ドラマは高視聴率を叩き出しました。

武井さんの演技も評価され、米倉さんと同様に女優として一皮剥けました。

柳の下に「二匹目のドジョウ」はいたのです。

 

最後に・・・。

今後、どの女優さんが松本清張ドラマに出演し、女優としての新境地を拓いて行くのでしょうか。

注目して行きたいところです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

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